シーサイドギャラリー・夏
毎年8月15日は「砂浜に座って空を見上げる日」。裸足で歩く砂の感触、波の音、潮風の香り、そして夜空に咲く大輪の花火。ここにしかない、「砂浜美術館」の夏の一大作品です。始まりは1967年(昭和42年)。「町の観光振興の一助になれば・・・」という思いで、観光協会・町・青年団が、花火を中心とした「フェスティバル大方」として始めました。
その後、1989年(平成元年)、砂浜美術館の活動が始まってからは「シーサイドギャラリー」として実施してきました。イベントの名称は変わりましたが、半世紀以上にわたり開催され、お盆の時期の風物詩となっています。どんなに景気の悪い時代にあっても、花火は町民、地域の事業者さん等の寄付で続けてきた夏祭りです。

子どもたちはこの日を境にちょっと成長する
黒潮町の子どもたちはこの花火大会を境に少し成長します。多くの家庭では、子どもが小学生になるまでは家族一緒に花火大会に行きます。しかし子どもたちは中学生になると、申合せて友達同士でいくようになります。夏休みになると何日も前から相談して、時間や集合場所を決め、花火の日は夕方になるのを待ちかね、自転車で出かけ夜遅く帰ってきます。若い親たちにとっては、今まで手をとって一緒に花火を見に行った我が子がいない寂しさと、無事に帰ってくるだろうかという心配で、子どもの成長を感じながらもさみしい一夜となります。また、高校を卒業すると、お盆に帰省した友達と、ひさびさに再開する場として、この夏の砂浜が思い出の場所となっているように感じます。
砂浜での盆踊り

花火の打上前には、砂浜で盆踊り大会が開催されます。だれでも参加できる盆踊り大会で、砂浜に設置されたやぐらのまわりをぐるぐる回りながら踊ります。砂地だから足がとられてけっこうきつい。いくつかの民謡が踊られますが、その中でも、「ヤッサ、ヤッサ、ヤッサヤッサヤッサヤッサ、・・・」と、ひときわ賑やかで派手な踊りの「鹿島一声浮立」は、青年団が主催していた時代からこの町で爆発的に流行した名物踊りです。多くの人々は、この歌と踊りは地元の踊りで、「鹿島」というのは黒潮町佐賀地域にある「鹿島」と勘違いするようですが、実は佐賀県鹿島市の民謡だそうです。このことを知った佐賀県鹿島市の人々は大変驚き、歓迎したようです。ちなみに、黒潮町生え抜きの民謡は「大方音頭」であり、これは大変ゆったりした踊りです。
夏の砂浜の楽しみ方

当日午前中は、会場となる入野の浜で「砂浜投げキッス」を開催。どんなイベントかと言えば、投げキスをする大会ではなく、キスの投げ釣り大会です。大きさ、匹数で勝負します。前述の盆踊りの前には、砂浜ステージを開催。フラダンスやダンスなど、砂浜を大舞台として発表です。そして夜の花火大会。発数は決して多くないですが、砂浜にのんびり座って180℃見渡せるような空を眺め花火を楽しむことができるのは、ここならでは。花火が終わった後、改めて空を眺めると、年によっては満月がでていたり、たくさんの星がきらめいていたり、普段当たり前に見ている空が、こんなにも素敵な空間であったことを実感させてくれます。
これから

地元の人たちにとっては、子どものころから遠足や散歩に訪れていた砂浜。年に一度、この砂浜を訪れて、友人やお世話になった人たちに再開する喜びや、自分たちの町の美術館で花火を見るという楽しみを感じてもらえたらと思います。町外から訪れる人たちには、この広大な解放感ある空間で、夏の一夜をたのしみ、皆さんにとっての砂浜美術館を実感してもらえばと思っています。
