スタッフ募集「地域の自然や文化をタノシム旅をつくる」

「地域の自然や文化を“タノシム”旅をつくる」スタッフ募集

黒潮町には立派な観光施設などはありません。高知空港からも車で約2時間と交通の便もよくありません。しかし、だからこそ残されている自然、また、そんな自然と上手につき合っていく知恵や文化、それらを大切にしている人びとの暮らしがあります。

砂浜美術館では、そうした地域資源を再発見し、地域の人たちと一緒に、この土地の自然や文化を“タノシム”旅をつくっています。

自転車で漁師町を巡る旅

自然や文化をタノシムって?

ゆったりとした時間の中で、自然に親しみ、地域の文化を大切に思うこと。そんな旅を地域の人と一緒につくり、旅人と共有すること。砂浜美術館のタノシミ方です。

黒潮町には、普段の暮らしの中に、小さな豊かさがたくさん詰まっています。それは、ここに住む人たちの宝物であって、訪れる旅人にとっては「訪れてみたい!」「また来よう!」と思ってもらえる魅力です。そうした豊かさをたくさん発見して、魅力ある旅を一緒につくりませんか。

現在、そんな旅をカタチにしていくための仲間を2名募集しています。


A.『sunabi(すなび)旅行』

地域の自然や文化をタノシミ、町を元気にするためには、事業としての継続が必要不可欠です。NPO砂浜美術館では、町の小さな循環経済の構築を目的とし、昨年8月旅行業(第3種)を取得。地域を大切にした旅行商品づくり、販売、受入を始めました。
sunabi旅行は、地域の未来を観光という立場から支える存在を目指しています。

天日塩づくりの体験≪天日塩づくりの体験≫

業務内容 黒潮町観光プラットフォーム整備事業における
※観光案内
※町内観光の調査、商品造成、受入
※スポーツ施設を利用した合宿・大会誘致などのスポーツ観光事業
※事務 等
勤務時間 8:30~17:00(4~9月は17:30まで)
休日 週休2日
※休日はローテーション制による1ヶ月単位で勤務シフトを組みます
給与 180,000円(社会保険・雇用保険あり) 他手当なし
勤務場所 高知県幡多郡黒潮町 ビオスおおがた情報館
採用人数 1名
採用期間 平成25年12月1日~平成27年3月31日
※契約更新の可能性もあり
その他 高知県ふるさと雇用再生特別基金事業です

B.『ホエールウォッチング』

土佐湾には体長約12m、優雅に泳ぐ姿から「海の貴婦人」とも呼ばれるニタリクジラを見に行く「ホエールウォッチング」を、4月末~10月末まで実施しています(その貫禄から、砂浜美術館の設立以来、館長をつとめています)。いつまでもクジラが安心して暮らせる海であってほしい、そんな願いを込めてホエールウォッチング事業を行っています。

ホエールウォッチング≪漁師さんの漁船で行くホエールウォッチング≫

業務内容 ホエールウォッチングに関する業務
※ホエールウォッチング受付配船業務
※営業、イベント企画、運営
※その他 観光関連事業
※事務 等
勤務時間 8:30~17:00(シーズン中は8:00から)
休日 週休2日
※休日はローテーション制による1ヶ月単位で勤務シフトを組みます
給与 142,000円から150,000円(年齢に応じて)(社会保険・雇用保険あり)
この他、賞与(年2回)が支給されます。
勤務場所 高知県幡多郡黒潮町 ビオスおおがた情報館
採用人数 1名
その他 平成25年12月1日~平成26年11月30日
※契約更新の可能性もあり

応募条件・方法

応募条件 ・砂浜美術館の活動、考え方に共感をもっている方
・普通自動車免許(AT限定可)または、取得予定者
・パソコン(ワード、エクセル、メール)の操作ができる方
応募方法 ◆1次試験 書類選考
・履歴書・紹介状・作文を下記儒諸まで郵送、またはご持参ください。
11月18日(月)17時必着。締め切りました。多くのご応募ありがとうございました。
・作文テーマ「黒潮町の観光における活性化の方法について」(800字以内横書き)
◆2次試験 面接
日時:11月20日(水)午後
場所:ふるさと総合センター(黒潮町入野)
その他 11月最終週に3日程度、引継ぎのため出勤の可能性があります
お問合せ 特定非営利活動法人NPO砂浜美術館
〒789-1911 高知県幡多郡黒潮町浮鞭3573-5 道の駅ビオスおおがた情報館内
電話番号:0880-43-4915(9:00-17:00)
E-mail:nitari@sunabi.com

「その日」 そもそものきっかけ・39日間の物語 第五話

シーサイドギャラリーの全景

↑シーサイドギャラリーの全景

Tシャツ売って20万円つくる

町長に「失敗してもいいから、とにかくやってみろ」といわれたわたしたちは、役割分担を決めました。事業予算は教育委員会の文化振興費から出し、畦地が担当。事業はフェスティバル大方の中で行うこととし、矢野が担当。総合的な窓口と全体調整をわたしが担当し、梅原さんには企画書づくりをお願いしました。

翌日、畦地は早々と予算書をつくってわたしのところにもってきました。そこにはシーサイドギャラリー事業費として165万円が計上されていました。が、同時に協賛金として110万円の収入も計上されています。つまり、165万円の内、110万円は入ってくる見込みがあるというのです。

これはどうやってつくるのか畦地にたずねました。「Tシャツを売ったり、企業の協賛をもらう。企業は1社だけど、あてがある」と畦地はいいます。さっそくその会社に行きました。企画書1枚で「100万円ください」というのですから無茶です。相手からは逆に「企業が協賛するためには・・・」と教えられて帰ってきました。

残る10万円は、じつは梅原さんに「シーサイドギャラリーのロゴマークのデザイン料を払います。つきましてはTシャツアート展を成功させるために、その中から10万円を寄付してもらえませんか」と頼んだのです。こちらはポンとくれました。

このときのデザイン料は30万円でした。が、支払った20万円は町の予算ではなく自分たちでつくったお金でした。わたしたちは、シーサイドギャラリーのロゴマークをプリントしたTシャツを1000枚つくり、これを1枚2000円で売ったのです。20万円はその売上でした。

そんなことを繰り返している内に、わたしや畦地は、だんだんと「放し飼いの公務員」と呼ばれるようになり、やがて役場の中に1人2人と同じような者が増えていきました。こうして放し飼いの公務員たちは、この行政らしくない企画にのめり込んでいきます。

砂美人連のメンバー(当時、保健福祉センター内にあった事務所にて)

↑砂美人連のメンバー(当時、保健福祉センター内にあった事務所にて)

でも、Tシャツアート展を成功させるには、これを外部に広げること、そしてやるに当たっては梅原さんのいう「しっかりした考え方」をつくることが求められていました。

そこで、社会教育係(*1)で町のすべての団体の窓口役を務める畦地に中心となってもらい、青年団や商工会青年部、農業青年の集まりである4Hクラブなどの主だったメンバーに声をかけていきました。かけられた中には、ろくな説明もされずに「おもしろいことをするけん(*2)、仲間に入らんか」といわれた人もいます。

こうしてできたのが「さざなみ会」というTシャツアート展の実行グループです。当時の新聞には次のように紹介されました。

「さざなみ会」は入野海岸に着目した町おこしをと7月初めに結成した。メンバーは現在9人。20代、30代の会社員、公務員、農業青年ら、いずれも地元の社会人だ。これまで若者の活動の場といえば、青年団や商工会などが中心だったが、「一度枠をはずして、素直に感じていることを話し合ってみよう」と集まった。(・・・)
「この町でしかできないこと」を求めて活動の場を入野海岸と決めた。「さざなみ会」の名は、将来は「町を担う大波になろう」との意味を込めた。
(1989年8月16日 朝日新聞)

それにしても、取材のときに誰かが肩に力の入ったコメントをしたのか、それとも記者の紹介が大袈裟なのか、いま読むと赤面してしまいます。このさざなみ会という名前も、4か月後の11月には現在の砂美人連(さみっとれん)に改名しました。理由は「ジジくさいから」でした。

【『砂浜美術館ノート』(1997年発行・非売品)より】

第六話「(払ってないが)1000万円の企画書」
第四話「クジラも松原もみんな作品」

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≪語り手≫
松本 敏郎(まつもと としろう)

砂浜美術館informal学芸員(*3)で、砂浜美術館立ち上げメンバーの一人。

●註

*1 社会教育係 社会教育とは学校教育以外のすべてのこと。ちなみに畦地氏の前任者は松本氏である。
*2 おもしろいことを
するけん
そういわれて加わったのは、当時、商工会青年部長だった河野裕(砂美人連会長)である。
*3 informal学芸員 以前、名刺に「砂浜美術館学芸員」と入れたところ、「学芸員は国家資格」と指摘され、以来informarl付き。

もっと読みたい方へ

砂浜美術館ノートⅡ

砂浜美術館ノートⅡ

立ち上げに携わったスタッフとメンバーも入れ替わり、地域内外とさまざまな人が関わりながら活動を継続してきた砂浜美術館。そんな人びとのインタビューやエピソードを交えながら、1997年から2008年までの10年間の活動記録を掲載しています。

ご興味のある方はコチラへ

エコツーリズムガイドのインターン生募集と説明会

漂流物の説明を行うスタッフ

環境省主催、砂浜美術館も受入先団体の1つになっている『エコツーリズムガイド育成研修』の受講者を募集しています。内容は、3日間の基礎研修後に約3か月間の実地研修と、エコツーリズム等の専門家による通信研修および巡回指導です。

砂浜での環境教育

砂浜美術館では、館長のニタリクジラを見に行くホエールウォッチング。長さ4kmの砂浜に流れ着く漂着物を使ってのビーチコーミング。その他にも、天然由来の調味料(さとう・しお・す・しょうゆ・みそ)がすべてそろう町ならではの、「天日塩づくり体験」や「黒糖づくり体験」など、地域に密着したプログラムがあり、それらの企画・広報から、実際に参加者に対してのガイドも行うことでスキルを磨いていただきます。

地域にある当たり前の風景や資源でも、少し見方を変えるだけで宝物になる。そんな実感を、研修を通じて感じていただければ幸いです。


説明会のスケジュール

明日19日と22日に、東京で説明会が行われます。興味のある方はぜひ!

【日時】10月19日(土)11:00~12:00 / 10月22日(火)19:00~20:00
【会場】(公社)日本環境教育フォーラム/東京都新宿区新宿5-10-15ツインズ新宿ビル4階

ホエールウォッチング

平成25年度エコツーリズムガイド育成研修 ≪受講者募集≫

エコツーリズムガイド育成研修は、環境省と自然学校やエコツアー関連組織が連携して基礎研修や実地研修等を行い、自然学校インストラクターやエコツアーガイド等の人材を育成するものです。研修を通じて、エコツアーガイドと地域コーディネーターの2つのスキルを実践的に学ぶことができます。
※エコツーリズムガイド育成研修はJEEFが環境省から受託し、共通カリキュラムの作成や研修事務局の運営を担っています。

基礎研修 東京:11月25日(月)~27日(水)
沖縄:12月7日(土)~9日(月)
実地研修 東京:12月 1日(日)~2月28日(金)
沖縄:12月10日(火)~2月28日(金)
※研修生の実地研修先は、全国約30の受入団体の中から面接選考会を経て決定しますが、研修生の希望通りにならない場合がございますが、ご了承ください。
※書類審査、面接選考会に合格した方が、実地研修に参加できます。
※実地研修の期間に巡回指導を受講し、課題・アクションプランを提出していただきます。
費用 講義に関するものは無料。但し、研修参加に係る以下の経費は参加者の自己負担となります。
1. 基礎研修の宿泊費・食費
2. 実地研修中の生活費(宿泊費・食費等)
3. 研修中の移動交通費
4. 修了報告会、修了式への交通費
5. 研修中の傷害保険料(6,000円程度、加入必須です)
6. 他、実地研修受入組織により必要とされるもの
応募締切 11月5日(火)必着
面接選考 東京:11月13日(水)こどもの城(東京都渋谷区)
沖縄:11月25日(月)会場は調整中

「その日」 そもそものきっかけ・39日間の物語 第四話

砂浜美術館館長のニタリクジラ

↑砂浜美術館館長のニタリクジラ

クジラも松原もみんな作品

かくして5月26日(金)。わたしと畦地、町の広報担当の浜田啓(当時)、そして梅原さんの4人は役場の町長室に町長を訪ねました。梅原さんとの出会いからわずか6日後のことでした。

わたしたちは、この企画を坂本義春町長(当時)を前に一気にまくしたて説明しました。が、むっつり屋の異名をもつ坂本町長からは反応がありません。

作戦通り振興計画(*1)への位置付けも話しましたが、これはTシャツを並べて砂像をつくるだけではどう考えても説得力に欠けていました。「考え方が大切」といっていた梅原さんも、なぜか慎重で、黙り込んだままです。

町長を前に一同が考え込んでいるところに、浜田が口火を切りました。「別にTシャツや砂の彫刻だけが作品と考えなくても、沖を泳いでいるクジラも、松原も、みんな作品(*2)として考えたらええと思う」というのです。

すると今度は、それを横で聞いていた梅原さんが、やおら大きくバシッとひざを叩くと、大きな声で「でけた!」と叫びました(何が「でけた」のかは、後でわかります)。

砂浜の風景写真をライフワークとしている浜田氏(砂浜美術館パンフレットより)

↑砂浜の風景写真をライフワークとしている浜田氏(砂浜美術館パンフレットより)

この年、坂本町長は大方町の振興計画を一新し、それに伴って役場の機構改革も行っています。また、ふるさと創生事業は、そのほとんどを松原再生事業に使う決定を行い、7月には全国の松原景勝地の関係者を招いて、大方町(*3)で松原サミットを行う準備を進めているところでした。

さらに、この年には、後年に全国規模で人気となるホエールウォッチングがかたちになりつつありました。砂浜に目を向けると、この長さ4キロの「月見が浜」とも呼ばれる白砂青松の浜の活用も町議会でたびたび議論されてきた経緯がありました。

浜田の一言で梅原さんの発言は現実的なイメージになり、そしてわたしたちの話のさいごまで聞いた坂本町長はこういいました。

「何もしなければ、何も変わらん。失敗してもいいから、とにかくやってみろ」

【『砂浜美術館ノート』(1997年発行・非売品)より】

第五話「Tシャツ売って20万円つくる」
第三話「大方の者(もん)は元気があるやんか」

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≪語り手≫
松本 敏郎(まつもと としろう)

砂浜美術館informal学芸員(*4)で、砂浜美術館立ち上げメンバーの一人。

●註

*1 振興計画 地方自治法で市町村は基本構想を定めるよう義務付けられている。構想や計画は通常10年ごとに作られる。
*2 みんな作品 砂浜の風景写真をライフワークとしている浜田氏だからこその発言。氏はまた流木の作品で県展立体の部特選を受賞。
*3 大方町 2005年大方町は佐賀町と合併し、黒潮町が誕生。
*4 informal学芸員 以前、名刺に「砂浜美術館学芸員」と入れたところ、「学芸員は国家資格」と指摘され、以来informarl付き。

もっと読みたい方へ

砂浜美術館ノートⅡ

砂浜美術館ノートⅡ

立ち上げに携わったスタッフとメンバーも入れ替わり、地域内外とさまざまな人が関わりながら活動を継続してきた砂浜美術館。そんな人びとのインタビューやエピソードを交えながら、1997年から2008年までの10年間の活動記録を掲載しています。

ご興味のある方はコチラへ