すなびのカタチ:砂浜美術館アカデミー②

アカデミー②
砂浜美術館の巨大作品「クジラ」

砂浜美術館の館長は、砂浜の前に広がる土佐湾に生息するカツオクジラ。このクジラは回遊せずに年間通してこの海に定住しているといわれています。国立科学博物館で鯨類の研究をしている田島木綿子氏は、「日本の中で10m級のひげクジラが通年見られる、そして4~10月は確実に定住しているのが分かっているのは土佐湾しかなく、国内でも珍しい。さらに棲める環境が整っているというのは、それだけ土佐湾が豊かな海だということ。黒潮町は日本にとって特別な場所だと思う。鯨類を知ること、海を知ること、それは我々自身を知ることにもつながる。」と話してくれました。私たちは黒潮の恩恵を昔から得てきました。すぐ目の前にある潮の流れ、そこにいる生き物・環境を知るべき場所でないかと思っています。クジラやイルカは遠い存在ではなく、私たちと同じ哺乳類で近い存在です。


クジラについて深く知りタノシム、そしてカンガエルバが黒潮町で開催されています。いろいろな角度から館長を知ることができますよ。

第34回セトロジー研究会黒潮大会(2024年6月22日~23日に開催)

場所:土佐西南大規模公園・ふるさと総合センター
主催:日本セトロジー研究会(※1)
(※1)主に鯨類やその他の海棲哺乳類について、研究・普及・情報収集のネットワークをつくり活動。自然科学はもちろんのこと、人文・社会科学など専門家から市民愛好者まで幅広い人たちがいます。

(開催Report)
「鯨類学」という共通点で、全国から100名を超える人たちが黒潮町に集まり、研究発表や情報交換、つながりを広げる場としてセトロジー研究会が開催されました。懇親会も大盛りあがり。皿鉢料理を楽しみながら、みなさん声がかれるほど、クジラ談義に花が咲きました。クジラに逢える町として「見る」だけでなく「知る」ことができ、これからもクジラから「人と自然のつきあい方」を考えるホエールウォッチングを展開していきます。

第10回ホネホネサミット2025@高知県黒潮町(2025年11月22日~23日に開催)

場所:土佐西南大規模公園・ふるさと総合センター
主催:ホネホネサミット(※2)2025@高知県黒潮町実行委員会
(※2)博物館や大学などを舞台に、公の財産としてのホネの標本づくりをしている団体や個人の交流が大きな目的。また一般の方々にも参加していただき、ホネの魅力や標本として残す意義を知ってもらう機会をつくることを目的にしています。

(開催Report)
「ホネ」を共通点に、全国から31団体約140名が集まり、陸と海のさまざまな生物の標本展示を行いました。ホネから見る生物の魅力や、ホネの魅力、標本を未来へ残す意図を来場者へ伝えるサミットとなりました。出展者同士、標本にする技術の情報交換や、各地域の生物の違いなど情報交換できる場となりました。
懇親会も、130名を超え、おいしいご飯や料理を楽しみながら、熱いホネ談義をかわし、ホネホネオークションも大盛り上がり!来場者の地元住民の方も、「こんなにホネに囲まれたのは初めて。とても勉強になった」「ぼくも獣医を目指し○○大学を目指す」といった声も聞くことができ、未来のホネホネ団たちの成長が楽しみです!


アカデミー③
砂浜美術館の勝手によってくる作品「漂流物」

「よくきたね」。砂浜に流れ着いた種子を見ると、そう声をかけてあげたくなります。漂着種子の研究をしている中西弘樹氏によると、黒潮に運ばれて南方からやってくる漂着種子はおよそ50種。その多くを砂浜美術館で所蔵しています。大きさや形は様々。植物は主に5つの方法で種子を運びます。風・動物・自発・水流・海流。漂着種子は、海流を使って種を運びます。もともと、陸上の植物は海水が苦手で、海水をかけると多くは枯れてしまいます。そんな植物が生き延びるために、海を使って運ぶとは自然の奥深さを感じます。植物は苦手な海を利用して分布を広げていくために、特殊な進化をしてきました。それは浮くための構造をもつことと、いつまでも浮き続けること。例えば、ココヤシとゴバンノアシは分類学的には全く違うものですが、果皮は繊維質でコルク質であり、いつまでも腐らないなど、構造はよく似ています。
また、漂着した場所は砂浜なので、水分があまりありません。そのため、はじめから種に栄養を蓄え、その栄養で芽をのばして根をはります。種も大きいものが多く、面白い進化をしている植物たちです。

ヤシ:ヤシの仲間は世界に263種、3400種類あるといわれ、中でも代表的なのは「ココヤシ」で、熱帯各地に分布しています。今は飛行機に乗れば数時間で世界どこへでも行ける時代ですが、交通網の発達とは別次元で、私たちにロマンを与えます。

ゴバンノアシ:ゴバンノアシは果実が碁盤の足のような形をし、熱帯アジアの砂浜に広く分布しています。英名で「フィッシュ・ポイズン・ツリー(魚毒木)」とも呼ばれ、種子に麻酔性があるので、太平洋の島々では果実を砕いて魚を獲るのに用いられたそうです。


今年は15年ぶりに、黒潮町で漂着物学会が開催されます(これまで第1回と第10回に開催)。漂流物をこよなく愛する人たちが一同にあつまり、わいわい語り合います。講演会や研究発表もありますよ。どなたでも参加できます。

第25回漂着物学会黒潮大会

日時:2026年10月17日(土)~18日(日)
会場:土佐西南大規模公園・ふるさと総合センター
主催:漂着物学会(※3)

(※3)四方を海で囲まれた日本の海岸には、昔からいろいろなものが流れ着きます。じっくり観察すると、環境問題・民俗学・自然科学・文学・芸術などたくさんのメッセージが含まれています。この学会では、いろいろな関心や研究を一定の枠の中にはめ込むのではなく、あらゆる分野を網羅した自由な学会を目指しています。


ここに住む町民や訪れる来館者、そしてここをフィールドとする研究者もみんなで砂浜美術館の常設作品をつくりあげていきたい。砂浜美術館アカデミーでは、作品を楽しみ、カンガエルバをつくり、これからも話題を発信していきます。