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SUNABIマガジン

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2026.7.27 プロジェクト

防災学習プログラム

2012年3月31日。黒潮町に「34m」というとても信じられない数字が突き付けられました。南海トラフ巨大地震発生の際に最大で想定される津波の高さです。もちろん、100年のうち99.999%は海の恵みあふれる町です。私たちは、リスクの0.001%を避けるために、海の近くで暮らす「お作法」を防災文化として育てています。

自然は恵みを与えるとともに、時に大きな災いをもたらします。砂浜美術館の防災学習プログラムは、私たちがそうした自然の一員であることを認識し、『自分の命は自ら守る』ことの大切さに気付くプログラムです。

 

「34m」がこの町にこない理由になった

南海トラフ巨大地震の新想定が公表されるまでは、黒潮町は自然体験型修学旅行の人気のスポットでした。ところが、新想定の公表とともに、それは激減しました。当時予定されていた修学旅行が全キャンセルになったことを目の当たりにして、その数字の大きさと危機感を実感しました。つまり、当時は「34m」がこの町にこない理由になってしまったわけです。その後、観光関連の仕事をしているみなさんと協議がはじまりました。しかしよく考えてみると、これまでの自然体験型プログラムは、例えばカツオの藁焼きタタキを食べ、ホエールウォッチングをして自然のいいとこどりだったのではなかったか。実は自然には「脅威」もあって、それも含め「自然」であることを伝えるプログラムを作ろう。そしてこの場所は、そうした「人と自然のつきあい方」を考えるのに適したフィールドではないかということから、防災学習プログラムがうまれました。

この町に来る理由をつくろう

この防災学習プログラムは、以下の①講義、②ワークショップ、③フィールドワークの3つのパートによって構成されています。

①講義

講義では、黒潮町に出された日本一の津波の被害想定をもとに、その想定の原理や津波の仕組みを学習すると同時に、想定が出された直後からの黒潮町役場の対策や地域住民の取り組みもご紹介します。さらに黒潮町の津波だけでなく、阪神淡路大震災や広島の集中豪雨など、昨今の災害にも触れ、災害は誰の身にも、いつどこにいても発生する可能性があることを認識していただき、この防災学習プログラムを、自分事として臨んでいただくための大切な準備の時間でもあります。

②ワークショップ

ひとたび災害が発生すれば、大人子ども関わらず、さまざまな決断に迫られる場面に遭遇することが予想されます。そこでこのワークショップでは、クロスロードという手法を用い、災害時に発生するさまざまな状況を事例として設定し、その状況に対して自分自身がどのように考え、そして判断をするのか、その練習を行います。さらにそこで考えた自分の意見をグループ内で議論した後、最後に全体で共有します。また、避難所における食料配布の事例にあわせて、黒潮町独自で製作販売している缶詰の取り組み紹介と、缶詰をおみやげに持って帰ってもらいます。

③フィールドワーク

フィールドワークでは、主に避難タワー、津波の碑、入野の浜の3か所を巡ります。避難タワーでは、タワーの機能の解説や実際の避難を想定した体験訓練だけでなく、地域住民の思いが詰まった緊急避難タワーであることを、地元住民スタッフからお話します。

世界津波の日高校生サミット

2015年12月、国連で11月5日を「世界津波の日」に制定することが決定されました。それを記念する「世界津波の日高校生サミット」の第1回がここ黒潮町で2016年11月に開催され、世界30か国から、約300人の高校生たちが黒潮町に集まりました。それぞれの国の取り組みの発表をふまえ、活発な議論がなされ、その成果として参加者総意のもと、「黒潮宣言」が採択されました。その宣言の最後にこんな一文がありました。

『自然の恵みを享受し、時に災害をもたらす自然の二面性を理解しながら、その脅威に臆することなく、自然を愛し、自然と共に生きていきます』

この一文に大変勇気づけられるとともに、「人と自然のつきあい方」を考える砂浜美術館として、、大切なプログラムとしてこれからも実施していきたいと思っています。

世界津波の日高校生サミット

・人と自然のつきあい方を考える 黒潮町防災ツーリズム