自然とうまくつきあう「お作法」を学ぼう:防災学習プログラム

自然とうまくつきあう「お作法」を学ぼう:防災学習プログラム

防災は、海の近くで暮らす私たちの「お作法」です

2012年3月31日、黒潮町に、34mというとても信じられない日本一の津波に襲われることが突如発表されました。もちろん、100年のうち99.999%は、海の恵みあふれる町でもあります。私たちは、リスクの0.001%を避けるために、海の近くで暮らす「お作法」を防災文化として育てています。自然は恵みを与えるとともに、時に大きな災いをもたらします。砂浜美術館の防災学習プログラムは、私たちがそうした自然の一員であることを認識し、『自分の命は自ら守る』ことの大切さに気付くプログラムです。

この防災学習プログラムは、以下のの①講義、②ワークショップ、③フィールドワークの3つのパートによって構成されています。


①講義

津波のシュミレーション映像に注視する中学生

↑津波のシュミレーション映像に注視する中学生(ふるさと総合センター内)

講義では、黒潮町に出された日本一の津波の被害想定をもとに、その想定の原理や津波の仕組みを学習すると同時に、想定が出された直後からの黒潮町役場の対策や地域住民の取り組みもご紹介します。

さらに黒潮町の津波だけでなく、阪神淡路大震災や広島の集中豪雨など、昨今の災害にも触れ、災害は誰の身にも、いつどこにいても発生する可能性があることを認識していただき、この防災学習プログラムを、自分事として臨んでいただくための大切な準備の時間でもあります。

②ワークショップ

難しい選択を前に、真剣に考える参加者たち(ふるさと総合センター内)

↑難しい選択を前に、真剣に考える参加者たち(ふるさと総合センター内)

ひとたび災害が発生すれば、大人子ども関わらず皆、さまざまな決断に迫られる場面に次々と遭遇することが予想されます。

そこでこのワークショップでは、クロスロードという手法を用い、災害時に発生するさまざまな状況を事例として設定し、その状況に対して自分自身がどのように考え、そして判断をするのか、その練習を行います。さらにそこで考えた自分の意見をグループ内で議論した後、最後に全体で共有します。

また、避難所における食料配布の事例にあわせて、黒潮町独自で製作販売している缶詰の取り組み紹介と、試食も行います。

それぞれのグループで出た意見を、みんなで共有します

③フィールドワーク

緊急避難タワーに上り、実際の避難時に与えられる一人分のスペースを体感します

↑緊急避難タワーに上り、実際の避難時に与えられる一人分のスペースを体感します

フィールドワークでは、主に緊急避難タワー、津波の碑、入野の浜の3か所を巡ります。

緊急避難タワーでは、タワーの機能の解説や実際の避難を想定した体験訓練(写真上)だけでなく、地域住民の思いが詰まった緊急避難タワーであることを、地元住民スタッフからお話します。

今なお現存している江戸時代後期に建てられた津波の碑 マルチコプターで最大の津波高を体感します

写真の津波の碑は、江戸時代後期に建てられたもので、当時の津波の様子が詳しく記されています。ここでは、当時の様子の説明とともに、津波の被害を受けた先人が、後人の私たちに伝えようしたメッセージを感じていただきます。また、隣には昭和の南海地震の碑もありますので、実際に被害にあわれた方から聞いた地震直後の様子を合わせてお話します。

入野の浜は、黒潮町の恵みをカラダいっぱいに感じられる場所であると同時に、津波をとてもリアルにイメージできる場所でもあります。参加者には、実際にその砂浜に立ってもらい、津波の高さや速度のこと、また、津波が起きた際の逃げるポイントを学習していただきます。


さまざまなケースに対応しています

砂浜美術館の防災学習プログラムでは、ここまでご紹介してきた講義、ワークショップ、フィールドワークを軸に、中高生を対象とした学習旅行のほか、自治体、地縁団体、まちづくりに取り組むグループや大学授業のフィールドワーク等、それぞれの場合に応じてプログラムをお作りし提供しております。詳しくはこちら

また、その他プログラム内容についてご要望がございましたらご相談ください。

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防災学習プログラム
価格:お一人さま2,000円(冊子代含む、100名さままで)※100名さま以上の場合はご相談ください。
所要時間:約2時間(事前に要予約)
※雨天でも対応可能ですが、フィールドワークは写真を見ながらの室内での対応となります。
お問い合わせはこちらからどうぞ!


過去の受け入れの様子

高校生

立命館高等学校さま(京都)

立命館高等学校さま

約30名の高校生が防災プログラムを体験しました。グループごとに課題を設定して、黒潮町を訪れる前からメールや電話を通じて事前学習をしながら、防災の知識を深めました。実際にプログラム体験後、高校生の視点で防災対策についてプレゼンテーションをして頂き、意見交換を行いました。災害はどこで生活していても遭遇する可能性があります。今回は普段海辺で暮らす高校生ではないですが、防災意識を高めてもらえたと思います。

【感想】
先日は、ありがとうございました。修学旅行が始まるまで、しばらく砂浜美術館とメールで連絡をとり、高知の防災や私たちのプレゼンテーマなどについて、色々相談をさせていただきました。班のみんなの意見が上手くまとまらないまま長文になってしまって、すごく読みづらくなってメールを送ったこともありましたが、どんな意見にも忙しい中、真剣に返事していただき、ありがとうございました。すてきな町にまた訪れたいと思います。

一般

安田町日赤奉仕団さま(高知)

安田町日赤奉仕団さま

3月にもかかわらず、吹雪となった季節外れのお天気ではありましたが、高知県東部の安田町から、砂浜美術館の防災プログラムを受けにみえられました。南海トラフ巨大地震に立ち向かう同じ高知県民として、最初の講義からワークショップ、吹雪の中のフィールドワークに至るまで、私たちの説明に最後まで熱心に耳を傾けていただきました。また海辺の地区で生活する人たちが多いとあって、実際に自分たちの地域に置きかえて考えることで、活発な意見がでました。

【感想】
とても有意義な研修でした。もしおこった災害時、いつも家族が同じ場所にいるとは限りません。一人で逃げることはできない、家族の安否を確認したい、しかし自分の命は自分で守る。できるかなぁ・・・。避難タワーも避難路ももちろん必要です。でも何度でも作り直すことはできます。しかし、命は・・・などと自問自答しながら帰途につきました。日赤奉仕団も定期的に防災訓練や救急講習等行っておりますが、参加者は毎回ほぼ変わらないメンバー中には 「きやせん」「年がいっちゅうき、かまん、よう逃げんき」 などと いう人も少なくはありません。しかし、こういった活動で身に着けた知識を(使うことがない方がいいのですが・・・)家族、地域住民に広めて行くことが 大事なことだと思いました。