第27回潮風のキルト展

第27回潮風のキルト展

第27回潮風のキルト展

日時 :2021年11月19日(金)~21日(日)10:00~15:00

場所 :砂浜美術館(高知県黒潮町 入野松原)※雨天:ふるさと総合センター

Patch-Work-Lifeさん

審査員 :Patch-Work-Lifeさん

【プロフィール】
手芸男子ユニット「patch-work」の二人を中心に集まりました。インテリアデザイナーの目線で創りだす、あたらしい「デザイン×パッチワーク」のカタチを発信しています。

【総評】
『布を楽しむ』をテーマに、今年も沢⼭の素敵な作品を「潮⾵のキルト展」にご出展頂き、誠に有難うございます。今年で第27回を迎える「潮⾵のキルト展」の審査を、昨年に引続き務めさせて頂きました、Patch-Work-Lifeと申します。今回もPatch-Work-Lifeメンバーが1作品ごと事前に写真で審査させて頂き、昨日(11/18)に、この砂浜美術館で展示された皆さまが制作されたキルトを確認しながら最終審査をさせていただきました。
今年は例年より一層思いの込められた作品が多かったように感じ、みなさまの、砂浜美術館や潮風のキルト展への想いを感じさせて頂きました。一人時間や自分時間と丁寧に向き合い、制作された作品がこの砂浜美術館でゆらゆら・ひらひらとなびく様子が今年もこの砂浜美術館の松原で、拝見させて頂けたこと、大変嬉しく思います。作品一つ一つの思いを感じとりながら、その中でも特に

「自身の気持ちや想いを表現されている」
「切り口やオリジナルの創作がされている」
「見せ方や見え方を考えている」

上記の項目をポイントに審査させて頂きました。毎回ですが、審査する私たちもまっさらな気持ちで「楽しい」や「好き」を感じるかどうかも大切にしました。選ばせていただいた各賞作品は、特に私たちの足を止め、心揺さぶられグッと心が引き込まれた作品です。感動や幸せは意外と身近に、そして日常に溢れている。そしてそれに気づけるかどうかだと思います。
「あなたがパッチワークすれば、世界はもっと楽しくなる」パッチワーク・キルトを通じて、みなさまが布を楽しみ、様々な⽅が笑顔になれますように。

Patch-Work-Lifeメンバー⼀同

入賞作品一覧


【大キルトの部】

潮風大賞 1点(賞金10万円)

思い出のベットカバー

タイトル:思い出のベットカバー

作者:浜﨑 あけみ(高知県幡多郡黒潮町)

【作者メッセージ】
海の男だった父親が大好きな娘のリクエストで、私が「海と鯨」をテーマにキルトを作り始めるきっかけとなった最初の鯨のデザインを、絵が上手だった主人が書いてくれました。それを娘が覚えていて子どものベットカバーを作ってと言うことで思い出のデザインで作りました。天国で喜こんでくれているといいなあ....。

作品全体の色使いや構図がダイナミックで素晴らしいです。作品中心の太陽の配置や色彩が、作品中央で壮大に跳ねる鯨を 上手く引き立てています。ダブルウェディングのパターンを周りに配置することにより、作品全体の印象が柔らかくなり、羅針盤や世界地図などの海に繋がる柄布を使用されるなど、こまかな所まで、作品のテーマにフィットした布選びやキルトラインが作品全体に施されています。全体的に布の使い方が上手く、雄大でインパクトのある作品に仕上がっています。

Patch-Work-Life

潮風賞 1点(賞金5万円)

入梅の頃

タイトル:入梅の頃

作者:小松 和惠 (高知県香美市)

【作者メッセージ】
5月、夕方の散歩の途中ふっと田んぼに目をやると、きれいに空が映り込んでいる。この景色は苗が生長する前の今しかない!と写真に撮っておきました。 後日、それをキルトにしようと思い立ち、スタートしたけれど、こんなにも家があったんだ(汗)と端切れの山を掘り返しての布選び、そして田植(?)は手植えで進まない・・・汗だくの作業となりました。布で絵を描く、むつかしいなあ。でも、大好き!♪
 

田んぼの中に、家や山や雲が映りこむ様を、様々な布や工夫を用いて表現!作者のアイデアや表現の描写。素晴らしいです。写真のようなリアルな要素を表しながら、布と糸を楽しみながら必死に考え製作されている姿が、目に浮かんできました。布は真っ直ぐに。刺繍ステッチをあえてズラす所など。一見作品からはラフに見えながらも、緻密に計算された表現や技術。惚れ惚れしました。キルト裏面の仕上りや表現もお見事でした。何気ない日常の生活の中から作品の表現のヒントを見つけることができることは、作者の日常からの創作意識と感度の高さを作品の細部から感じ、キルトへの愛を感じることができました。

Patch-Work-Life

ささやき賞 1点(賞金2万円)

反対の世界とのコラボ 輝く未来へ

タイトル:反対の世界とのコラボ 輝く未来へ

作者:千葉県野田市立岩名中学校7組
吉田真也・小野寺雛乃・上地海斗・仁多見真也・堀田優人・市野未稟奈・永岩陸斗・藤生理央
(千葉県野田市)

【作者メッセージ】
コロナ禍で思うように作業が出来ない中、クラス全員で話し合いを重ね、やっと一つの作品へと仕上がりました。このキルトは蛇腹折りになっており、左右からの見え方の違いを利用しています。両側から見て迫力を感じて頂けると嬉しいです。細かい所にも気を配りながら、完成をイメージして一針一針縫い上げました。今まで見たことも経験したことも無いような作品に仕上がっています。
 

表現手法に創意工夫され、作品に力がみなぎる印象的な作品です。時間の変化や「海⇔砂漠」への対極の世界観の対比がユーモアに溢れ、布版屏風型だまし絵になりとても驚きました。松原を歩きながらキルトの景色が変わる。最高ですね!海の面には、様々な海の生物を力強く描写し、砂漠の面にはシルエットでラクダと人を表す。色んな角度で作品を楽しめる、「布を楽しむ」作品です。

Patch-Work-Life

【小キルト・クッションの部】

こもれび大賞 1点(賞金2万円)

タイムトンネル - 何処へ -

【小キルト】
タイトル:タイムトンネル – 何処へ –

作者:西川 祥子 (愛媛県南宇和郡愛南町)

【作者メッセージ】
半世紀前も前の小学校高学年の頃、アメリカドラマ「タイムトンネル」を夢中で見た。SF映画にはまる原点のドラマとなった。2回目のキルトの題材に思いついたのは今年の8月初旬、雑誌に載っていた写真がきっかけだが、相変らず遅いスタート。意気込んで、下絵を画き色をつけ、写真をパチリ。型紙を起した時点で8月後半。布を選ぶ段階では、配色の妙に、悩む時間が増え、縫い始めて後悔する事、しきり。この画を小キルトに収めるには、私の技量が追いついていないのだ。しかし9月を過ぎて引き返せない時期。進めるしかなく、パーツをひと通りの配置に縫い終った時点で、今度は自身が思っていたタイムトンネルのイメージとも違って見えてきた。そこでわかりやすくするために、孫の大きな恐竜やドラエモンの登場だ。(ものまねでいうまねする前に名前を言うという禁じ手と一緒である)これで孫にもタイムトンネルの意味が伝わるかなと思うが自信はない。
 

お孫さまとのコラボレーション作品。様々な要素が盛りだくさん。楽しくて面白い作品ですね!紺色の土台布の上に螺旋状に配置された色とりどりの柄布。映像や記憶の断片に見立て、奥へ奥へと細かくグラデーションをかけることにより、見事に立体感と奥行感を演出されています。キルトラインや布やドラエもんのサイズ感など。細かな所まで頑張って製作された背景が垣間見えました。下部正面に配置された女の子はお孫さまをイメージされたのでしょうか?

Patch-Work-Life

こもれび賞 2点(賞金1万円)

Akamaru and his friend

【小キルト】
タイトル:Akamaru and his friend

作者:土井 和代(神奈川県横浜市栄区)

【作者メッセージ】
赤丸と子どもたちとの思い出のキルト。赤丸は黒い体に赤い点のあるデメキンでした。奈良の郡山城の桜祭りで息子が見つけて、自分のお小遣いで連れて帰りました。先住の金魚たちの水槽に仲間入りした日、 赤丸が消えてしまい、みんなで大騒ぎして探しました。小さな赤丸はサザエの殻の中に隠れていました。 大きくなると赤丸は体全体が赤くなりました。2匹はとても長生きしました。小学生だった子ももう大学生。
 

お子様との思い出が詰まった素敵な作品ですね!金魚や水草は、水の動きを表すかのように裁ち切り布を用い、作品の特徴となる土台布の黒いミシンラインには、フリーモーションを用い大胆に描きながらも、模様の大小やステッチの入れ方で濃淡をつけるなど、緻密に計算され製作されています。サザエの殻に入れないくらい大きく育った赤丸が気持ちよさそうに泳いでいる描写や、作品全体のシンプルな色使いなどとてもポップで楽しい作品に仕上がっています

Patch-Work-Life

パパだっこ

【クッション】
タイトル:パパだっこ

作者:田中 美恵子(福岡県朝倉市)

【作者メッセージ】
小さい頃、だっこしてもらうと、何とも言えない安心感があったような気がします。大人になって、だっこする事はあってもされる事はありません。「クッションにだっこされてもいいのかな?」と思い作ってみました。

時計の細かな表現やパパの温かくて柔らかなフォルム。楽しんで製作された風景が目に浮かびました。カッターシャツの中に綿を詰めたクッションのアイデア。ユーモアがあって楽しいクッションに仕上がりましたね。 大きなパパの手の中に、クマを抱いている姿も作者の布を楽しみながら、「クスッ」と笑えるセンスに惹かれてしまいました。

Patch-Work-Life

【全部門より】

こっそり賞 2点(賞金5千円)

審査員:フランソワ69世

チューリップのある風景

【大キルト】
タイトル:チューリップのある風景

作者:地域活動支援センターたいよう
(高知県土佐清水市)

【作者メッセージ】
みんなで花壇いっぱいにチューリップを植えました。春になり、赤・白・黄色と色鮮やかに咲き、とてもきれいでした。この作品は、実際にみんなで植えた花壇のチューリップを、オランダの風景に取り入れて再現しています。チューリップの茎や葉っぱなど、小さい所の作業が大変だったけれど、みんなで協力してキルトに仕上げました。
 

いつも感動を与えてくださりありがとうございます。私がまだ少女のころ、外国といえば風車と木靴そしてチューリップの咲くオランダを漠然と思い浮かべていました。もう60年も前のことです。あなた方の作品を見ていてそのことを思い出しました。今わたしの思い出とあなた方の作品との偶然の出会いにこっそり賞をもらっていただきたいと思いました。こっそりお受け取り下さい。

フランソワ69世

三月の庭

【大キルト】
タイトル:三月の庭

作者:田岡 朝子(高知県香美市)

【作者メッセージ】
毎年のことですが、まだ肌寒い風の中、庭に春の色が訪れます。一番にハクモクレンが咲きはじめ、雑草のジシバリも黄色の花をつけ、小さな草花が段々と、庭の色を暖かく変えていきます。自然のきびしさと、やさしさに、感心します。

いつも素敵な作品をありがとうございます。お花を・・・しかも私の好きなお花を、繊細なお色で刺繍とアップリケされていて、ジワーッと感動を覚えます。本当に優しいあなたの作品に、こっそり賞をもらっていただきたいと思いました。こっそりお受け取りください。

フランソワ69世

砂浜美術館賞 2点(次回キルト展応募券)

審査員:パッチワークキルトサークルあずさ

静寂

【大キルト】
タイトル:静寂

作者:松本 鳴子(高知県高岡郡津野町)

【作者メッセージ】
40年ぶりに再会した高校時代の同級生が見せてくれたのは、おびただしい数のキルトでした。高校卒業頃にリウマチを発病し実家で過ごしていた彼女が、こんなに沢山のキルトを仕上げていたなんて!感動しました。一つ一つの緻密な仕上りを見ていると、キルトを通して楽しんだ彼女の穏やかな暮らしを感じます。彼女の思いをキルトに託し、梼原の山中から黒潮町の浜辺への旅を試みました。 (松本鳴子さんの作品を、友人達が出品の手伝いをしています)

審査員:自然工房

フレンド

【大キルト】
タイトル:フレンド

作者:友 高子(高知県四万十市)

【作者メッセージ】
初めてキルト展に作品を出しました。今年に入ってパッチワークを始めて基本も余りわからなかったけど、教えてもらいながら大きな作品が出来上がりました。

フォトギャラリー


第26回潮風のキルト展

第26回潮風のキルト展

第26回潮風のキルト展

日時 :2020年11月21日(土)~23日(月)10:00~15:00

場所 :砂浜美術館(高知県黒潮町 入野松原)※雨天:ふるさと総合センター

Patch-Work-Lifeさん

審査員 :Patch-Work-Lifeさん

【プロフィール】
手芸男子ユニット「patch-work」の二人を中心に集まりました。インテリアデザイナーの目線で創りだす、あたらしい「デザイン×パッチワーク」のカタチを発信しています。

【総評】
『布を楽しむ』をテーマに、今年も沢山の素敵な作品を「潮風のキルト展」にご出展頂き、誠に有難うございます。今年で第26回を迎える「潮風のキルト展」の審査を、昨年に引続き務めさせて頂きました、Patch-Work-Lifeです。
このような特別な環境の中、皆さまの想いが込められた、沢山のキルト作品が、この砂浜美術館に集結頂けたこと。今年もいつもと同じように松原に並ぶキルトが、ゆらゆらとのんびりと潮風になびかれる風景をみなさんと一緒に楽しむことができること。本当に感謝致します。世界中でも類をみない大自然の中で開催される「潮風のキルト展」。一人でも多くの方々に、笑顔と元気をお届けできることを心より願って。今年もみんなで布を楽しみましょう!
2020年 第26回「潮風のキルト展」審査の基準としましては、

【表現力】= 布で想いやイメージを表現すること
【メッセージ性】= 何をどう伝えたいか
【創意工夫】= 布を楽しみながら工夫されたこと

上記3項目を中心に、1作品1作品、僭越ながらPatch-Work-Lifeメンバーで審査させて頂きました。作品を製作される時には、製作目的・ストーリー・コンセプトなどを基に、どうすれば自分の想いをカタチにできるのかを皆さまも考えられると思います。過去の出来事や、日々の日常を切り取った風景や、これからの希望など。テーマは様々なところに存在します。誰にどうすれば想いが伝わるのか?ご自身が伝えたいことは何なのか?どのような作品を製作されたいのか?皆さまそれぞれの想いや表現方法を、これからもご自身や仲間達と、日々意識されながら突き詰められて下さいね。 キルトは自由です。思い想いの表現を、布を楽しみながら創作されて下さい。 「あなたがパッチワークすれば、世界はもっと楽しくなる」 パッチワーク・キルトを通じて、みなさまが布を楽しみ、様々な方が笑顔になれますように。

Patch-Work-Lifeメンバー⼀同

入賞作品一覧


【大キルトの部】

潮風大賞 1点(賞金10万円)

潮を吹く

タイトル:潮を吹く

作者:横田 京子(高知県高知市)

【作者メッセージ】
主人の退職を機に生まれ育った高知に帰って来ました。第三の人生を迎え、何か記念になる作品をと考えた時、高知の青い海、そして鯨をイメージしました。主人と二人、老後を元気で楽しく、のんびりゆったりとの想いを込めた作品です。太平洋で豪快に潮を吹く鯨、そんな姿を見てみたいなぁ!!

作品のタイトルとなっている、鯨の潮の吹き出し方が、豪快かつ綺麗に潮を吹く姿を描写され、本物の鯨もこのように勢い良く潮を吹くのだなと作品から想像できました。海のうねりや潮の流れを、青系の布を用いたグラデーションが美しく、キルトラインもシンプルで上手く表現されています。鯨の模様もエイトポイントスターを用いてそれそれの模様を変化させるなど、作品随所に色んな創意工夫がみられる躍動感溢れる作品に仕上がっています。仲睦まじい2頭の鯨は、横田さまご夫婦を表されているのでしょうね。

Patch-Work-Life

潮風賞 1点(賞金5万円)

糸裂彩(いとさいさい)

タイトル:糸裂彩(いとさいさい)

作者:徳久 信子&さるびあ会(ゆか・すみれ)
(福岡県筑紫野市)

【作者メッセージ】
寄付で集まった布を裂いて糸作りから始め、A4サイズのミニ手織機でさるびあ会のゆかさんとすみれさんが3年かけて200枚以上の布を織りあげました。その布を繋いで結んで縫い合わせて大きなタペストリーに仕上げました。縦糸に使用した麻糸は、海外の障がい者就労支援施設から輸入した物を使用しています。

背景に様々な色糸と布素材を上手く繋ぎ合わせ、中央に絶妙なバランスで作品を印象づける花を立体的に配置。麻糸が、作品全体に統一感を与え、様々な色糸や素材を使用されているので、作品全体の表情や印象がとても楽しい独創的な作品に仕上がっています。糸を紡いで。織って。繋いで。縫い合わせる。それぞれの素材を新たな1つの作品として見事に生まれ変わらせましたね。想いや人を繋ぎ繋がってきた、そんな作者だからこそ製作できた作品になっていると感じました。

Patch-Work-Life

ささやき賞 1点(賞金2万円)

道 草

タイトル:道 草

作者:小橋 千惠美(高知県幡多郡黒潮町)

【作者メッセージ】
子ども達の絵が好きで、2006年のカレンダーを切り、しまっていた所に、キルトを習いはじめキルトとして残す事ができました。又、息子達も、この頃があったなぁと、なつかしく思い作りました。

ノスタルジー感じられるのんびりとした田舎の風情溢れる一コマをキルトで仕上げられた、心が温まる作品。子どもたちの豊かな表情や、今にもキルトから飛び出してきそうな子ども達の柔らかで躍動感溢れる表現力。お見事です。作品中央に配置された停留所の屋根は、ピーシングとアップリケで上手く立体的に創作され、またキルトラインもとても丁寧な仕上がりとなっています。すすきの穂の表現や子ども達の楽しげな表情がとても印象に残りました。時間を忘れていつまでも眺めていたくなるくらい、作者の作品づくりへの愛情を感じることができました。

Patch-Work-Life

【小キルト・クッションの部】

こもれび大賞 1点(賞金2万円)

NO PLASTICS~ from Puffin ~

【小キルト】
タイトル:NO PLASTICS~ from Puffin ~

作者:土井 和代(神奈川県横浜市)

【作者メッセージ】
パフィンは北大西洋の大海原に棲む海鳥です。若い頃パフィンを観るために営巣地のあるシェットランド島を訪ねたことがあります。マイクロプラスチックによる海洋汚染が生態系を脅かしていることに心が痛みます。
“NO PLASTICS”パフィンの声を夏の思い出とともにポスターに表しました。細やかながら私もキルターとして日頃から天然繊維のキルト芯を使っています。作品にはバンブー100%キルト芯を使用しました。

作品に込められたメッセージ性や作品のクオリティ。圧巻です!!作品全体の色彩や構図。キルトラインも空は風が漂う感じに、フォントの箇所は想いが解り易いようにストレートのキルトラインに。空と海のブルーの切り返しや、水面に映り込む影や反射の表現など。どこをとっても独創的でデザイン性の高いキルトに仕上がっています。パフィンのなんともいえない作者を代弁するかのような瞳。どこか寂しげでもどかしい表情が、作品の全てのメッセージを物語っているように思えました。ポスターパッチワーク・キルト。素晴らしいです。

Patch-Work-Life

こもれび賞 2点(賞金1万円)

24年越しの初作品

【小キルト】
タイトル:24年越しの初作品

作者:西川 祥子(愛媛県南宇和郡愛南町)

【作者メッセージ】
子どもが小学生の頃、所属していた剣道会の保護者にパッチワークを習おうとした矢先、故郷へ転勤された。離町の際、牛鬼のタペストリー一式(土台布やパーツ)を頂いたが、仕上げる事もできず処分してしまい、ずっと心残りであった。今回ネットで絵を探し、下絵から始め、なんとかアップリケ迄は無難に終えたが、キルティングはお粗末の一言。裏面を見たら“ムンクの叫び”状態だ。ともあれ24年越しの初作品、仕上がりましたよ。○○さん!!出来はともかく。

24年越しの初作品!!とは思えないくらい、キルトの技術や布の配置などの表現力も高く布を楽しまれたとても印象的な作品に仕上がっています。キルトラインや柄布を用いて牛鬼の活気溢れる表情。舌を立体的に作られた遊びゴコロや配色や全体の構図。作品から作者のエネルギーと活気が、こちらにも伝わってきました。次の作品も楽しみにしています!

Patch-Work-Life

いただきます

【クッション】
タイトル:いただきます

作者:田中 美恵子(福岡県朝倉市)

【作者メッセージ】
家族そろっての食事はとても幸せな時間です。その小さな幸せをクッションにしてみました。  野菜 きのこ ウインナー どれも楽しく作ることができました。今度はお鍋に入れない野菜も作ってみたいと思います。

これは凄い!!具沢山で美味しそうなお鍋ですね!!ギュウギュウに詰め込まれた野菜たちが、何だか生き生き、瑞々しくて楽し、、美味しそうですね!!白菜・白ネギ・人参・レンコン・椎茸・とうもろこし!!様々な素材や色彩の布を使ってリアルに立体的に表現された驚きと楽しさが溢れるオリジナリティが溢れる作品に仕上がっています。こんな美味しそうなキルト。初めてみました!

Patch-Work-Life

【全部門より】

審査員:自然工房

「!」賞 1点(賞金1万円)

ちくちく

【大キルト】
タイトル:ちくちく

作者:仲山 美智子(福岡県筑紫野市)

【作者メッセージ】
私の仕事…洋服作りです。私が楽しんで作れば着る人もきっと楽しんで着てくれる。今日も、ちくちくと縫う。「だれかのための一着」を縫う。これからも手が動かせる間、ちくちくと楽しく縫う。布にうもれ、猫と戯れる日々に感謝です。

作品を目にした時何かこみ上げてくるものがありました。まさに「!」感動の瞬間でした。作品の中にクッション部門に応募されたクッションがあったり、カレンダーにはしめ切り日に赤〇がついていたり布が大好き、潮風のキルト展が大好きな気持ちも伝わってきます。今後も あなたにしか出来ない作品(Art)を作り続けていただきたいと思います

自然工房

審査員:来場者

砂浜美術館賞 2点(次回キルト展応募券)

りんごの古里

【大キルト】
タイトル:りんごの古里

作者:田岡 朝子(高知県香美市)

【作者メッセージ】
私はりんごが大好きです。台風や大雨の被害がなくて、良い収穫が出来ることを、いつも願っています。りんごの古里を旅した気分で、端切れの布を、ふじ、つがる、紅玉、王林、スターキングなどと、楽しみながら布選びしました。

そよ風

【大キルト】
タイトル:そよ風

作者:吉見 ミサ子(愛媛県八幡浜市)

【作者メッセージ】
少しづつ残ったグレーの生地を分割を変えて円を浮かばせました。欠けたパターンを向きを変えて風を表現してみました。正円の所にだけマーガレットの花をアップリケしました。やさしいそよ風が花の上を通り過ぎて行きました。

フォトギャラリー


第25回潮風のキルト展

第25回潮風のキルト展

第25回潮風のキルト展

日時 :2019年11月15日(金)~18日(月)10:00~15:30(最終日は14:00まで)

場所 :砂浜美術館(高知県黒潮町 入野松原)※雨天および最終日:ふるさと総合センター

Patch-Work-Lifeさん

審査員 :Patch-Work-Lifeさん

【プロフィール】
手芸男子ユニット「patch-work」の二人を中心に集まりました。インテリアデザイナーの目線で創りだす、あたらしい「デザイン×パッチワーク」のカタチを発信しています。

【総評】
『布を楽しむ』をテーマに、今年も沢山の素敵な作品を「潮風のキルト展」にご出展頂き、誠に有難うございました。今年で第25回を迎える「潮風のキルト展」の審査を、昨年に引続き務めさせて頂きました、Patch-Work-Lifeと申します。
毎年11月にこの大自然の中で開催されるキルト展。この最高のロケーションの中で「布を楽しむ」のテーマの通り、どの作品からも創意工夫に溢れ、楽しみながら制作された想いが、どの作品からも感じとることができました。潮風にそよぐ木の葉や、木漏れ日。また色鮮やかに咲くラッキョウの花たちと共に、沢山のパッチワーク・キルトたちもひらひら、ゆらゆら と。砂浜美術館の松原で今年も気持ちよさそうに泳いでいます。
2019年・第25回「潮風のキルト展」審査の基準としましては、

【表現力】= 布で想いやイメージを表現すること
【メッセージ性】= 何をどう伝えたいか
【創意工夫】= 布を楽しみながら工夫されたこと

上記3項目を中心に、1作品1作品、僭越ながらPatch-Work-Lifeメンバーで審査させて頂きました。テーマやコンセプト、切り口や視点を変えて見ると、今までとはまた違った作品が生まれるかもしれません。今まで使用されたことのない色彩の布や異素材を使用されてみるとか、新しい何かに挑戦しご自身の創作の幅を広げられると、パッチワークの楽しさがより一層深く大きくなると思います。 身近な人以外に向けたパッチワークだったらどんなデザイン?もしプレゼント用だったらどんなカタチ? 自分自身に問いかけながら、制作される前に一度立ち止まって考えてみると、今までとは違う作品が出来る ヒントやアイデアが生まれるきっかけになる事もあります。皆さまだからできるパッチワーク・キルトを制作されることを、今後も楽しみにしています。 「あなたがパッチワークすれば、世界はもっと楽しくなる」 パッチワーク・キルトを通じて、みなさまが布を楽しみ、様々な方が笑顔になれますように。

Patch-Work-Lifeメンバー⼀同

入賞作品一覧


【大キルトの部】

潮風大賞 1点(賞金10万円)

廃田に咲く

タイトル:廃田に咲く

作者:森 澄子(高知県幡多郡黒潮町)

【作者メッセージ】
十数年前までは山奥に行っても小さな田んぼも大切にされ稲が植えられていた。そんな田んぼが所どころ荒れている。後継者不足の問題か?田は荒れても彼岸の時季に咲く花に自然の力を感じる。廃棄前のジーンズで滅びゆく田を描いてみた。

作品中央に配置された、美しくて妖艶なリコリス(ヒガンバナ)の佇まいと、背景をデニム布を繋ぎ合わせ廃田を上手く表現されたとても印象的な作品で心を動かされました。花びらのラインに沿ってデニム布を裁ち切り、花びらには赤色の着物を用いて奥行感と立体感を演出され、雄しべと雌しべにはロープを用い繊細なラインを表現させるなど、ご自身の頭の中にあるイメージを具現化させるアイデアと工夫が見事で、独創的でお洒落な作品に仕上がっています。作品の後面から透けたリコリスの映り方が幻想的でとても驚かされました。

Patch-Work-Life

潮風賞 1点(賞金5万円)

夏の思い出

タイトル:夏の思い出

作者:小松 和惠(高知県香美市)

【作者メッセージ】
何もしたくない暑い暑い8月の初旬の朝、夫を誘って北川村モネの庭に出かけました。いつもなら青い睡蓮が目的だけれど、今回はもうひとつ…小さな生き物。水の庭でいつもの風景に癒された後、花の庭へ。そこでオミナエシの咲いている場所でたくさんのブルービー発見!!「幸せを運んでくれる」という青い蜂たちに出会えて暑さもどこかへ飛んで行った一日でした。

ミシンとハンドを融合させた、壮大で優雅な作品に仕上がっています。様々な布や手法を用い葉の表面や水面の青色の写り方の表現がとても上手く、オミナエシ(女郎花)にブルービーが飛んでいる風情が目に浮ぶような作品になっています。作品全体通じての配色の濃淡や、キルトの入れ方など一つ一つの制作プロセスが丁寧に愛情を込めながら色んな手法や繊細な色使いで仕立てられ、作者が布を楽しみながら制作された姿が目に浮かんできました。

Patch-Work-Life

ささやき賞 1点(賞金2万円)

やすらぎの小径

タイトル:やすらぎの小径

作者:一柳 美惠子(愛媛県松山市)

【作者メッセージ】
ペーパーピーシングの手法で全部、かたちの違う286ブロックのログキャビンたち。それぞれが向かう径の先には、何が待っているのだろう。楽しい事があるといいな・・・・・。

布達が自らの意思があるように布が躍り、どこかトリックアートの要素を持っているような、見ている側が何かを感じ、考えさせられるような不思議な作品に仕上がっています。「やすらぎの小径」というタイトルと作品が、ログキャビンという技法を用い、中へ奥へと潜りぬけていくような独特の世界観を表現されています。白からベージュ、茶色へと移り変わるグラデーションも、布を楽しみ、また悩みながら制作され、作者の制作意図や発想の視点がとても気になる作品です。

Patch-Work-Life

【小キルト・クッションの部】

こもれび大賞 1点(賞金2万円)

山北の棒踊り

【小キルト】
タイトル:山北の棒踊り

作者:⼤野 ⽂代(高知県高知市)

【作者メッセージ】
白装束にたすき、はちまきをした若者達がりりしく舞う「山北の棒踊り」です。もう少し若者達を大きくすれば迫力が出せたかな……と。(何年か前の高知新聞様の写真を参考させてもらいました)

ご自身が作品として着地したい完成イメージを、様々な手法や技術を工夫しながら制作された所が随所に垣間見えました。髪型や表情など観客の一人一人に特徴や動きを細かく表現され、洋服を裁ち切りで制作されたザックリ感が、作品全体に柔らかさと温かさを助長させています。地面のキルトラインが棒踊りの勢いを表し、演者達が着ている胴着のステッチが、体のラインや胴着シワなど上手く表現されており、作品を眺めていると、観客の歓声や演者の掛け声などが作品から聞こえてくるかのような、ダイナミックな作品に仕上がっています。

Patch-Work-Life

こもれび賞 2点(賞金1万円)

DJ サンタモニカ

【クッション】
タイトル:DJ サンタモニカ

作者:夕部 真樹(高知県四万十市)

【作者メッセージ】
履けなくなったGパンで愛犬「DJ サンタモニカ」を制作しました。

かわいい^ ^!!今にも動き出しそうなリアルなフォルムと表情にビックリしました。抱っこして連れて帰りたくなりました。サンタモニカさんの視線の先に何かを見つめているような目つきや後ろ足のラインなど。哀愁漂う佇まいや雰囲気がとても印象に残り愛おしくなりました。デニム布を使用して作られた愛犬の立体キルト。耳を切りっぱなしで表現し、また首元には赤いバンダナでアクセントに。この独創的な立体リストの発想に驚き、作者の愛犬に対する愛情の深さを感じました。

Patch-Work-Life

海の貴婦人親子

【小キルト】
タイトル:海の貴婦人親子

作者:大迫 綾美(高知県幡多郡黒潮町)

【作者メッセージ】
布や小学校で買った裁縫道具と向き合ったのは何年ぶりだろう。記憶の中では、家庭科の授業以来。キルトの前にまずは、玉結びから。「糸をこーしてクルクルねじればできる」という先生の説明。できん!だからいつも固結び2回。だったのが、今回キルトを始めてクルクルの理屈が分かり、できるように!!レベル上がった私!縫い終わって、さぁ玉止め。これもできん。「針に糸をクルクルして爪で持ったまま針を抜く」びよ~んと余白。これは最後まで習得できず。また来年頑張ろう。

タイトルのネーミングも素敵です!作品全ての布を青系の布で統一し、バンダナの柄を用いてニタリクジラさんの表情や描写を上手く表現されています。背景に使用されたワッフル地が太陽の光を受け、海水の流れや深みを感じさせ、その海中を泳ぐ親子のクジラさんのフォルムや動きがとても上品で優雅に泳ぐ姿が目に浮かんできました。作品づくりに悪戦苦闘されながらも、作者の表現したい世界観が伝わる、布を楽しまれた作品に仕上がっています。

Patch-Work-Life

【全部門より】

審査員:自然工房

「!」賞 1点(賞金1万円)

布を楽しむ ~ようこそパリへ~

【小キルト】
タイトル:布を楽しむ ~ようこそパリへ~

作者:近藤 紀子(愛知県名古屋市名東区)

【作者メッセージ】
お気に入りの布を自由につないだら1枚布のようになりました。刺繍とキルトだけでは少し単調かなと思い、チャームを作って付けました。子供の頃の洋服に付いていたタグやボタンを再利用し、リボンやブレードもプラスしました。今回の作品は、ちゃんとした製図が無いです。お手本になるような作り方を見ることもなく、布を楽しむことによって出来た作品です。憧れのパリへの思いが伝わるといいなと思います。

1目みておしゃれなキルトだナと思いました。出来そうでできない布の組み合わせ…。憧れが色に表れていると思います。この感性を持ち続けてほしいと思います。

自然工房

審査員:来場者

砂浜美術館賞 2点(次回キルト展応募券)

かわいい草花

【大キルト】
タイトル:かわいい草花

作者:田岡 朝子(高知県香美市)

【作者メッセージ】
私の家のまわりには、まだ自然がのこっています。シロツメグサ(クローバー)、カラスノエンドウ、オオイヌフグリ、エノコログサ(ネコジャラシ)などたくさんの小さくて、かわいい花が咲きます。

思いをつなぐ

【大キルト】
タイトル:思いをつなぐ

作者:佐賀町民館デイサービス(高知県幡多郡黒潮町)

【作者メッセージ】
区画ごとに一人ひとりの思いが込められ、つながり大きな作品となりました。佐賀町民館のデイサービス参加者には、パッチワークが得意な方も、苦手な方もおられます。しかし、制作中の参加者に笑顔や笑い声が絶えることはありません。ひとりでは完成が難しかった方も皆と一緒に作り上げ、つながった時、その区画はなくてはならないものとなりました。誰もが手を取り合い、分かち合える社会になっていくよう、ここから思いをつなぎ始めます。

フォトギャラリー


第24回潮風のキルト展

第24回潮風のキルト展

第24回潮風のキルト展

日時 :2018年11月10日(土)~12日(月)10:00~15:30(最終日は14:00まで)

場所 :砂浜美術館(高知県黒潮町 入野松原)※雨天:ふるさと総合センター

Patch-Work-Lifeさん

審査員 :Patch-Work-Lifeさん

【プロフィール】
手芸男子ユニット「patch-work」の二人を中心に集まりました。インテリアデザイナーの目線で創りだす、あたらしい「デザイン×パッチワーク」のカタチを発信しています。

【総評】
このたび『第24回潮⾵のキルト展』の審査を務めさせて頂きましたPatch-Work-Lifeです。今年も想いのこもった作品をご出展頂き誠にありがとうございました。
世界中のどこをさがしても他に類を⾒ない最⾼なロケーションである、ここ砂浜美術館で開催される「潮⾵のキルト展」。潮⾵にそよぐ⽊の葉やラッキョウの花とともに、沢⼭のパッチワーク・キルトたちもひらひら、ゆらゆらと気持ちよさそうに泳いでいます。
パッチワーク・キルトを通じて想いを繋ぐ。⾃然を繋ぐ。⼈を繋ぐ。思い出、感動、喜び、希望、ときには悲しみさえも。皆さまの作品を拝⾒させて頂き、布を楽しみ、また様々な想いをキルトに込めながら、アイデア溢れるパッチワーク・キルトの表現に嬉しくなり、どの作品からも楽しく、様々な想いを持って制作される姿が⽬に浮かんできました。
2018年・潮⾵のキルト展の審査の基準としましては、【表現⼒】【メッセージ性】【インパクト】この3つを基軸に、今年はこの砂浜美術館で、そよ⾵や⽊漏れ⽇たちと⼀緒に気持ち良さそうにひらひら・ゆらゆらとする佇まいも、審査の対象とさせて頂き、想いを込めて審査させて頂きました。
皆様の様々な作品を拝⾒させていただき、たくさんの感動やたくさんの発⾒ができたこと、本当に感謝しております。『パッチワーク・キルト』は⾃由です。縫いの技術の上⼿い下⼿はもちろんありますが、⾃分の想いを表現したい上⼿い下⼿はありません。
これからもパッチワーク・キルトを通じて多くの⼈がつながり、また⾃分⾃⾝とつながる。そしてここ砂浜美術館の⾃然とつながることで、みなさまの世界がより⼀層楽しくなりますよう⼼から願っております。

Patch-Work-Lifeメンバー⼀同

入賞作品一覧


【大キルトの部】

潮風大賞 1点(賞金10万円)

夜明け

【大キルト】
タイトル:夜明け

作者:吉⾒ ミサ⼦(愛媛県)

【作者メッセージ】
藍染や絣が好きで作品を作ったりしました。その時残った⼩さな布も捨てられずためていました。それらを使い、新しい朝の冷たい空気と静けさを表わしてみました。

澄んだ空にピンっと冷えた空気が伝わってきます。夜と朝のすき間、ブルーモーメントを見事に捉えた美しい作品ですね。同系色の様々な布を駆使され、ログキャビンで朝焼けの微かな光と夜空とのグラデーションが作品に奥行を与えたその表現力と技術力は素晴らしいです。藍染の布や絣という日本ならではの良質な布を使用されたからこそ、色味に立体感と深みを与え、どこまでも広がっていく夜空を見事に表現された素敵な作品に仕上がっています。

Patch-Work-Life

潮風賞 1点(賞金5万円)

こいのぼりの川渡り

【大キルト】
タイトル:こいのぼりの川渡り

作者:⼭中 志津⾹(高知県)

【作者メッセージ】
四⼗数年前、幡多郡⼤正町⽥野々(今の四万⼗市)⼤正町に住んでいた頃、⼤正町昭和へ⾜を延ばし、そこで⾒た光景が忘れられませんでした。それが「こいのぼりの川渡し」でした。本当に衝撃的でした。だれが考えついたのでしょうか、すばらしいの⼀⾔でした。今でこそ、もうあまり珍しくはないのですが。

四万十川の風景をそのまま切り抜いたパッチワーク・キルト。四万十川の水面に映り込む空の表情や山の陰影の深み。染布に皺やタックで川の表面や奥行を出された表現力に脱帽です。チリメンを使用し、風に揺られて大空に舞う鯉のぼりが、その場の臨場感を上手く表現され、とても風情のある印象的な作品に仕上がっています。

Patch-Work-Life

ささやき賞 1点(賞金2万円)

昼星

【大キルト】
タイトル:昼星

作者:泉 由美(愛媛県)

【作者メッセージ】
昼間に⾒える星をイメージしてキルトを作りました。以前、住んでいた町のふとん店さんが閉店してしまい、その娘さんからふとんカバーや、ざぶとんカバーなどを沢⼭頂きました。あまりに⽩くきれいな布を再利⽤したくて、⼤きなキルトに変わりました。7⽉に⻄⽇本豪⾬により、以前まで住んでいた町は、⼤変な災害にあいました。私たち家族は引っ越していたので⼤丈夫でしたが、親戚の⽅々は亡くなりました。今まで住んでいた町が、まさかの災害で悲しい思いをしておりました。少しでも元気に復旧・復興を願いながら、明るい星空になりますように願いを込めて。

一年であまりにも多くの災害に見舞われた2018年。日本中が自然の恐怖になすすべもなく無力感に襲われてしまった気がします。しかし悲しみの中でも作者が、誰もが見上げる空に「復旧と復興」という希望を託され制作されたキルト。作品が砂浜美術館の光に照らし出され、白やブルーの布が様々な色に変化し、表情を変え気持ち良く風に靡かれていた姿が印象的でした。星というシンプルなデザインに泉さまの想いがシンボル化され、とてもメッセージ性のある素敵な作品に仕上がっています。

Patch-Work-Life

【小キルト・クッションの部】

こもれび大賞 1点(賞金2万円)

いい⼲(かん)じ!!

【小キルト】
タイトル:いい⼲(かん)じ!!

作者:⼤野 ⽂代(高知県)

【作者メッセージ】
⾼知の早春の陽ざしをいっぱいに受けて、⻘空の下で輝く“うるめ”達です。やっぱり天⽇⼲しが⼀番!(⾼知新聞様のステキな写真を参考させてもらいました)

ネーミング素敵デス!!魚と空との青色のコントラストや、刺繍を用い魚の鱗を表現したり、尾びれを柄布やステッチでリアルに表現された、全体の色合いや細部の工夫など、繊細且つ躍動的に仕上げられたとても立体的な作品に仕上がっています。魚一匹一匹が気持ち良さそうに空を泳ぎ、磯の香り、うるめの香りまでキルトから漂ってきそうな、とても気持ちの良い作品ですね。

Patch-Work-Life

こもれび賞 2点(賞金1万円)

僕の顔

【クッション】
タイトル:僕の顔

作者:大方高校「砂浜美術館」北澤 守(高知県)

【作者メッセージ】
あの作品は⾃分の顔をモチーフに作りました。髪の⽑や⽬の形など細かい部分を似せるのが⼤変苦労しました。でも、思ったよりうまくでき、けっこうお気に⼊りです。この経験を⽣かしてまた作ってみたいと思いました。

パッチワークは自由です。思い思いの布を使って、自分の顔をパッチワークで表現する。最高デス!!素晴らしいデス!!一見全体のバランスが不揃いに見えるのですが、ジーーっと作品を眺めていると、全体の構図に纏まりがあり、色使いも豊かに力強く表現されたまさに現代アートのパッチワークです。この自由な表現力を大切に、是非これからも「布を楽しむ」作品づくりを期待しています。

Patch-Work-Life

ここにはこれでしょ!

【クッション】
タイトル:ここにはこれでしょ!

作者:森 澄子(高知県)

【作者メッセージ】
松原には松ぼっくりがよく似合う…本当は⽴体で作りたかった…でも製図の段階で挫折(悔)それでも作りたい… 何かいい⽅法はないか?そんなことを思い考え悩みながら作りました

松ぼっくりをど真ん中に一つ。潔く潔い作品ですね!立体的に松ぼっくりを表現されたかったお気持ち。。。キルティングを細かくトラプントで表現され、また細いラインで放射線状に松葉を表現された表現力。森さまのモノづくりに対するお気持ちが作品に表れています。砂浜美術館で、木漏れ日や影が作品に映り込む佇まいが、とても風景に馴染み、自然の中で引きたっていました。

Patch-Work-Life

【全部門より】

審査員:浜田 啓さん(砂浜美術館楽芸員)

ひらく賞 1点(浜田啓氏の写真)

八千代の想い

【大キルト】
タイトル:八千代の想い

作者:一柳 美惠子(愛媛県)

【作者メッセージ】
4千枚以上のヘキサゴンをつなぎながら、ん?十年生きて来た自分を振り返る。それは些細な事で泣いたり、落ち込んだり―――。でも、笑ったり、感動したり、また嬉しい日もたくさんあった。日々の出来事は、いつも誰かが関わってくれている。だからこそだと、今更ながら気付かされる。そんな事を想いながら、今日もいそいそと針を持つ。

伝統の技法をつかいながらも、作品に宇宙を感じました。作者の想いが伝わってきます。

浜田 啓さん(砂浜美術館楽芸員)

審査員:来場者

砂浜美術館賞 2点(次回キルト展応募券)

Dear Tasha, ディア ターシャ

【大キルト】
タイトル:Dear Tasha, ディア ターシャ

作者:パッチワークキルトサークルぽえむ
   (高知県)

【作者メッセージ】
2008年に92才で亡くなったターシャ・チューダー。テレビで度々彼女の生活が放送されるのを見て、その生き方に引き込まれました。少し前になるのですが、自分達のキルトの作品展に向けて、ターシャの庭の花々を表現してみようということになりました。パッチワーク初心者やアップリケが初めてという方もいて、苦労したけれど、みんなの作品を繋ぎ合わせて大きな一枚が完成すると、「万歳!」でした。

花の散歩道

【大キルト】
タイトル:花の散歩道

作者:西谷 春代(愛媛県)

【作者メッセージ】
布が好きで、いつの間にか集まったたくさんの布達。今回の作品でお気にいりの布達を使って…大好きな花のアップリケを作りました。小さな端切れになった布も最後まで使い、楽しく製作する事ができました。私のお気に入りの作品になりました。

フォトギャラリー