第27回潮風のキルト展

第27回潮風のキルト展

第27回潮風のキルト展

日時 :2021年11月19日(金)~21日(日)10:00~15:00

場所 :砂浜美術館(高知県黒潮町 入野松原)※雨天:ふるさと総合センター

Patch-Work-Lifeさん

審査員 :Patch-Work-Lifeさん

【プロフィール】
手芸男子ユニット「patch-work」の二人を中心に集まりました。インテリアデザイナーの目線で創りだす、あたらしい「デザイン×パッチワーク」のカタチを発信しています。

【総評】
『布を楽しむ』をテーマに、今年も沢⼭の素敵な作品を「潮⾵のキルト展」にご出展頂き、誠に有難うございます。今年で第27回を迎える「潮⾵のキルト展」の審査を、昨年に引続き務めさせて頂きました、Patch-Work-Lifeと申します。今回もPatch-Work-Lifeメンバーが1作品ごと事前に写真で審査させて頂き、昨日(11/18)に、この砂浜美術館で展示された皆さまが制作されたキルトを確認しながら最終審査をさせていただきました。
今年は例年より一層思いの込められた作品が多かったように感じ、みなさまの、砂浜美術館や潮風のキルト展への想いを感じさせて頂きました。一人時間や自分時間と丁寧に向き合い、制作された作品がこの砂浜美術館でゆらゆら・ひらひらとなびく様子が今年もこの砂浜美術館の松原で、拝見させて頂けたこと、大変嬉しく思います。作品一つ一つの思いを感じとりながら、その中でも特に

「自身の気持ちや想いを表現されている」
「切り口やオリジナルの創作がされている」
「見せ方や見え方を考えている」

上記の項目をポイントに審査させて頂きました。毎回ですが、審査する私たちもまっさらな気持ちで「楽しい」や「好き」を感じるかどうかも大切にしました。選ばせていただいた各賞作品は、特に私たちの足を止め、心揺さぶられグッと心が引き込まれた作品です。感動や幸せは意外と身近に、そして日常に溢れている。そしてそれに気づけるかどうかだと思います。
「あなたがパッチワークすれば、世界はもっと楽しくなる」パッチワーク・キルトを通じて、みなさまが布を楽しみ、様々な⽅が笑顔になれますように。

Patch-Work-Lifeメンバー⼀同

入賞作品一覧


【大キルトの部】

潮風大賞 1点(賞金10万円)

思い出のベットカバー

タイトル:思い出のベットカバー

作者:浜﨑 あけみ(高知県幡多郡黒潮町)

【作者メッセージ】
海の男だった父親が大好きな娘のリクエストで、私が「海と鯨」をテーマにキルトを作り始めるきっかけとなった最初の鯨のデザインを、絵が上手だった主人が書いてくれました。それを娘が覚えていて子どものベットカバーを作ってと言うことで思い出のデザインで作りました。天国で喜こんでくれているといいなあ....。

作品全体の色使いや構図がダイナミックで素晴らしいです。作品中心の太陽の配置や色彩が、作品中央で壮大に跳ねる鯨を 上手く引き立てています。ダブルウェディングのパターンを周りに配置することにより、作品全体の印象が柔らかくなり、羅針盤や世界地図などの海に繋がる柄布を使用されるなど、こまかな所まで、作品のテーマにフィットした布選びやキルトラインが作品全体に施されています。全体的に布の使い方が上手く、雄大でインパクトのある作品に仕上がっています。

Patch-Work-Life

潮風賞 1点(賞金5万円)

入梅の頃

タイトル:入梅の頃

作者:小松 和惠 (高知県香美市)

【作者メッセージ】
5月、夕方の散歩の途中ふっと田んぼに目をやると、きれいに空が映り込んでいる。この景色は苗が生長する前の今しかない!と写真に撮っておきました。 後日、それをキルトにしようと思い立ち、スタートしたけれど、こんなにも家があったんだ(汗)と端切れの山を掘り返しての布選び、そして田植(?)は手植えで進まない・・・汗だくの作業となりました。布で絵を描く、むつかしいなあ。でも、大好き!♪
 

田んぼの中に、家や山や雲が映りこむ様を、様々な布や工夫を用いて表現!作者のアイデアや表現の描写。素晴らしいです。写真のようなリアルな要素を表しながら、布と糸を楽しみながら必死に考え製作されている姿が、目に浮かんできました。布は真っ直ぐに。刺繍ステッチをあえてズラす所など。一見作品からはラフに見えながらも、緻密に計算された表現や技術。惚れ惚れしました。キルト裏面の仕上りや表現もお見事でした。何気ない日常の生活の中から作品の表現のヒントを見つけることができることは、作者の日常からの創作意識と感度の高さを作品の細部から感じ、キルトへの愛を感じることができました。

Patch-Work-Life

ささやき賞 1点(賞金2万円)

反対の世界とのコラボ 輝く未来へ

タイトル:反対の世界とのコラボ 輝く未来へ

作者:千葉県野田市立岩名中学校7組
吉田真也・小野寺雛乃・上地海斗・仁多見真也・堀田優人・市野未稟奈・永岩陸斗・藤生理央
(千葉県野田市)

【作者メッセージ】
コロナ禍で思うように作業が出来ない中、クラス全員で話し合いを重ね、やっと一つの作品へと仕上がりました。このキルトは蛇腹折りになっており、左右からの見え方の違いを利用しています。両側から見て迫力を感じて頂けると嬉しいです。細かい所にも気を配りながら、完成をイメージして一針一針縫い上げました。今まで見たことも経験したことも無いような作品に仕上がっています。
 

表現手法に創意工夫され、作品に力がみなぎる印象的な作品です。時間の変化や「海⇔砂漠」への対極の世界観の対比がユーモアに溢れ、布版屏風型だまし絵になりとても驚きました。松原を歩きながらキルトの景色が変わる。最高ですね!海の面には、様々な海の生物を力強く描写し、砂漠の面にはシルエットでラクダと人を表す。色んな角度で作品を楽しめる、「布を楽しむ」作品です。

Patch-Work-Life

【小キルト・クッションの部】

こもれび大賞 1点(賞金2万円)

タイムトンネル - 何処へ -

【小キルト】
タイトル:タイムトンネル – 何処へ –

作者:西川 祥子 (愛媛県南宇和郡愛南町)

【作者メッセージ】
半世紀前も前の小学校高学年の頃、アメリカドラマ「タイムトンネル」を夢中で見た。SF映画にはまる原点のドラマとなった。2回目のキルトの題材に思いついたのは今年の8月初旬、雑誌に載っていた写真がきっかけだが、相変らず遅いスタート。意気込んで、下絵を画き色をつけ、写真をパチリ。型紙を起した時点で8月後半。布を選ぶ段階では、配色の妙に、悩む時間が増え、縫い始めて後悔する事、しきり。この画を小キルトに収めるには、私の技量が追いついていないのだ。しかし9月を過ぎて引き返せない時期。進めるしかなく、パーツをひと通りの配置に縫い終った時点で、今度は自身が思っていたタイムトンネルのイメージとも違って見えてきた。そこでわかりやすくするために、孫の大きな恐竜やドラエモンの登場だ。(ものまねでいうまねする前に名前を言うという禁じ手と一緒である)これで孫にもタイムトンネルの意味が伝わるかなと思うが自信はない。
 

お孫さまとのコラボレーション作品。様々な要素が盛りだくさん。楽しくて面白い作品ですね!紺色の土台布の上に螺旋状に配置された色とりどりの柄布。映像や記憶の断片に見立て、奥へ奥へと細かくグラデーションをかけることにより、見事に立体感と奥行感を演出されています。キルトラインや布やドラエもんのサイズ感など。細かな所まで頑張って製作された背景が垣間見えました。下部正面に配置された女の子はお孫さまをイメージされたのでしょうか?

Patch-Work-Life

こもれび賞 2点(賞金1万円)

Akamaru and his friend

【小キルト】
タイトル:Akamaru and his friend

作者:土井 和代(神奈川県横浜市栄区)

【作者メッセージ】
赤丸と子どもたちとの思い出のキルト。赤丸は黒い体に赤い点のあるデメキンでした。奈良の郡山城の桜祭りで息子が見つけて、自分のお小遣いで連れて帰りました。先住の金魚たちの水槽に仲間入りした日、 赤丸が消えてしまい、みんなで大騒ぎして探しました。小さな赤丸はサザエの殻の中に隠れていました。 大きくなると赤丸は体全体が赤くなりました。2匹はとても長生きしました。小学生だった子ももう大学生。
 

お子様との思い出が詰まった素敵な作品ですね!金魚や水草は、水の動きを表すかのように裁ち切り布を用い、作品の特徴となる土台布の黒いミシンラインには、フリーモーションを用い大胆に描きながらも、模様の大小やステッチの入れ方で濃淡をつけるなど、緻密に計算され製作されています。サザエの殻に入れないくらい大きく育った赤丸が気持ちよさそうに泳いでいる描写や、作品全体のシンプルな色使いなどとてもポップで楽しい作品に仕上がっています

Patch-Work-Life

パパだっこ

【クッション】
タイトル:パパだっこ

作者:田中 美恵子(福岡県朝倉市)

【作者メッセージ】
小さい頃、だっこしてもらうと、何とも言えない安心感があったような気がします。大人になって、だっこする事はあってもされる事はありません。「クッションにだっこされてもいいのかな?」と思い作ってみました。

時計の細かな表現やパパの温かくて柔らかなフォルム。楽しんで製作された風景が目に浮かびました。カッターシャツの中に綿を詰めたクッションのアイデア。ユーモアがあって楽しいクッションに仕上がりましたね。 大きなパパの手の中に、クマを抱いている姿も作者の布を楽しみながら、「クスッ」と笑えるセンスに惹かれてしまいました。

Patch-Work-Life

【全部門より】

こっそり賞 2点(賞金5千円)

審査員:フランソワ69世

チューリップのある風景

【大キルト】
タイトル:チューリップのある風景

作者:地域活動支援センターたいよう
(高知県土佐清水市)

【作者メッセージ】
みんなで花壇いっぱいにチューリップを植えました。春になり、赤・白・黄色と色鮮やかに咲き、とてもきれいでした。この作品は、実際にみんなで植えた花壇のチューリップを、オランダの風景に取り入れて再現しています。チューリップの茎や葉っぱなど、小さい所の作業が大変だったけれど、みんなで協力してキルトに仕上げました。
 

いつも感動を与えてくださりありがとうございます。私がまだ少女のころ、外国といえば風車と木靴そしてチューリップの咲くオランダを漠然と思い浮かべていました。もう60年も前のことです。あなた方の作品を見ていてそのことを思い出しました。今わたしの思い出とあなた方の作品との偶然の出会いにこっそり賞をもらっていただきたいと思いました。こっそりお受け取り下さい。

フランソワ69世

三月の庭

【大キルト】
タイトル:三月の庭

作者:田岡 朝子(高知県香美市)

【作者メッセージ】
毎年のことですが、まだ肌寒い風の中、庭に春の色が訪れます。一番にハクモクレンが咲きはじめ、雑草のジシバリも黄色の花をつけ、小さな草花が段々と、庭の色を暖かく変えていきます。自然のきびしさと、やさしさに、感心します。

いつも素敵な作品をありがとうございます。お花を・・・しかも私の好きなお花を、繊細なお色で刺繍とアップリケされていて、ジワーッと感動を覚えます。本当に優しいあなたの作品に、こっそり賞をもらっていただきたいと思いました。こっそりお受け取りください。

フランソワ69世

砂浜美術館賞 2点(次回キルト展応募券)

審査員:パッチワークキルトサークルあずさ

静寂

【大キルト】
タイトル:静寂

作者:松本 鳴子(高知県高岡郡津野町)

【作者メッセージ】
40年ぶりに再会した高校時代の同級生が見せてくれたのは、おびただしい数のキルトでした。高校卒業頃にリウマチを発病し実家で過ごしていた彼女が、こんなに沢山のキルトを仕上げていたなんて!感動しました。一つ一つの緻密な仕上りを見ていると、キルトを通して楽しんだ彼女の穏やかな暮らしを感じます。彼女の思いをキルトに託し、梼原の山中から黒潮町の浜辺への旅を試みました。 (松本鳴子さんの作品を、友人達が出品の手伝いをしています)

審査員:自然工房

フレンド

【大キルト】
タイトル:フレンド

作者:友 高子(高知県四万十市)

【作者メッセージ】
初めてキルト展に作品を出しました。今年に入ってパッチワークを始めて基本も余りわからなかったけど、教えてもらいながら大きな作品が出来上がりました。

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