第25回潮風のキルト展

第25回潮風のキルト展

第25回潮風のキルト展

日時 :2019年11月15日(金)~18日(月)10:00~15:30(最終日は14:00まで)

場所 :砂浜美術館(高知県黒潮町 入野松原)※雨天および最終日:ふるさと総合センター

Patch-Work-Lifeさん

審査員 :Patch-Work-Lifeさん

【プロフィール】
手芸男子ユニット「patch-work」の二人を中心に集まりました。インテリアデザイナーの目線で創りだす、あたらしい「デザイン×パッチワーク」のカタチを発信しています。

【総評】
『布を楽しむ』をテーマに、今年も沢山の素敵な作品を「潮風のキルト展」にご出展頂き、誠に有難うございました。今年で第25回を迎える「潮風のキルト展」の審査を、昨年に引続き務めさせて頂きました、Patch-Work-Lifeと申します。
毎年11月にこの大自然の中で開催されるキルト展。この最高のロケーションの中で「布を楽しむ」のテーマの通り、どの作品からも創意工夫に溢れ、楽しみながら制作された想いが、どの作品からも感じとることができました。潮風にそよぐ木の葉や、木漏れ日。また色鮮やかに咲くラッキョウの花たちと共に、沢山のパッチワーク・キルトたちもひらひら、ゆらゆら と。砂浜美術館の松原で今年も気持ちよさそうに泳いでいます。
2019年・第25回「潮風のキルト展」審査の基準としましては、

【表現力】= 布で想いやイメージを表現すること
【メッセージ性】= 何をどう伝えたいか
【創意工夫】= 布を楽しみながら工夫されたこと

上記3項目を中心に、1作品1作品、僭越ながらPatch-Work-Lifeメンバーで審査させて頂きました。テーマやコンセプト、切り口や視点を変えて見ると、今までとはまた違った作品が生まれるかもしれません。今まで使用されたことのない色彩の布や異素材を使用されてみるとか、新しい何かに挑戦しご自身の創作の幅を広げられると、パッチワークの楽しさがより一層深く大きくなると思います。 身近な人以外に向けたパッチワークだったらどんなデザイン?もしプレゼント用だったらどんなカタチ? 自分自身に問いかけながら、制作される前に一度立ち止まって考えてみると、今までとは違う作品が出来る ヒントやアイデアが生まれるきっかけになる事もあります。皆さまだからできるパッチワーク・キルトを制作されることを、今後も楽しみにしています。 「あなたがパッチワークすれば、世界はもっと楽しくなる」 パッチワーク・キルトを通じて、みなさまが布を楽しみ、様々な方が笑顔になれますように。

Patch-Work-Lifeメンバー⼀同

入賞作品一覧


【大キルトの部】

潮風大賞 1点(賞金10万円)

廃田に咲く

タイトル:廃田に咲く

作者:森 澄子(高知県幡多郡黒潮町)

【作者メッセージ】
十数年前までは山奥に行っても小さな田んぼも大切にされ稲が植えられていた。そんな田んぼが所どころ荒れている。後継者不足の問題か?田は荒れても彼岸の時季に咲く花に自然の力を感じる。廃棄前のジーンズで滅びゆく田を描いてみた。

作品中央に配置された、美しくて妖艶なリコリス(ヒガンバナ)の佇まいと、背景をデニム布を繋ぎ合わせ廃田を上手く表現されたとても印象的な作品で心を動かされました。花びらのラインに沿ってデニム布を裁ち切り、花びらには赤色の着物を用いて奥行感と立体感を演出され、雄しべと雌しべにはロープを用い繊細なラインを表現させるなど、ご自身の頭の中にあるイメージを具現化させるアイデアと工夫が見事で、独創的でお洒落な作品に仕上がっています。作品の後面から透けたリコリスの映り方が幻想的でとても驚かされました。

Patch-Work-Life

潮風賞 1点(賞金5万円)

夏の思い出

タイトル:夏の思い出

作者:小松 和惠(高知県香美市)

【作者メッセージ】
何もしたくない暑い暑い8月の初旬の朝、夫を誘って北川村モネの庭に出かけました。いつもなら青い睡蓮が目的だけれど、今回はもうひとつ…小さな生き物。水の庭でいつもの風景に癒された後、花の庭へ。そこでオミナエシの咲いている場所でたくさんのブルービー発見!!「幸せを運んでくれる」という青い蜂たちに出会えて暑さもどこかへ飛んで行った一日でした。

ミシンとハンドを融合させた、壮大で優雅な作品に仕上がっています。様々な布や手法を用い葉の表面や水面の青色の写り方の表現がとても上手く、オミナエシ(女郎花)にブルービーが飛んでいる風情が目に浮ぶような作品になっています。作品全体通じての配色の濃淡や、キルトの入れ方など一つ一つの制作プロセスが丁寧に愛情を込めながら色んな手法や繊細な色使いで仕立てられ、作者が布を楽しみながら制作された姿が目に浮かんできました。

Patch-Work-Life

ささやき賞 1点(賞金2万円)

やすらぎの小径

タイトル:やすらぎの小径

作者:一柳 美惠子(愛媛県松山市)

【作者メッセージ】
ペーパーピーシングの手法で全部、かたちの違う286ブロックのログキャビンたち。それぞれが向かう径の先には、何が待っているのだろう。楽しい事があるといいな・・・・・。

布達が自らの意思があるように布が躍り、どこかトリックアートの要素を持っているような、見ている側が何かを感じ、考えさせられるような不思議な作品に仕上がっています。「やすらぎの小径」というタイトルと作品が、ログキャビンという技法を用い、中へ奥へと潜りぬけていくような独特の世界観を表現されています。白からベージュ、茶色へと移り変わるグラデーションも、布を楽しみ、また悩みながら制作され、作者の制作意図や発想の視点がとても気になる作品です。

Patch-Work-Life

【小キルト・クッションの部】

こもれび大賞 1点(賞金2万円)

山北の棒踊り

【小キルト】
タイトル:山北の棒踊り

作者:⼤野 ⽂代(高知県高知市)

【作者メッセージ】
白装束にたすき、はちまきをした若者達がりりしく舞う「山北の棒踊り」です。もう少し若者達を大きくすれば迫力が出せたかな……と。(何年か前の高知新聞様の写真を参考させてもらいました)

ご自身が作品として着地したい完成イメージを、様々な手法や技術を工夫しながら制作された所が随所に垣間見えました。髪型や表情など観客の一人一人に特徴や動きを細かく表現され、洋服を裁ち切りで制作されたザックリ感が、作品全体に柔らかさと温かさを助長させています。地面のキルトラインが棒踊りの勢いを表し、演者達が着ている胴着のステッチが、体のラインや胴着シワなど上手く表現されており、作品を眺めていると、観客の歓声や演者の掛け声などが作品から聞こえてくるかのような、ダイナミックな作品に仕上がっています。

Patch-Work-Life

こもれび賞 2点(賞金1万円)

DJ サンタモニカ

【クッション】
タイトル:DJ サンタモニカ

作者:夕部 真樹(高知県四万十市)

【作者メッセージ】
履けなくなったGパンで愛犬「DJ サンタモニカ」を制作しました。

かわいい^ ^!!今にも動き出しそうなリアルなフォルムと表情にビックリしました。抱っこして連れて帰りたくなりました。サンタモニカさんの視線の先に何かを見つめているような目つきや後ろ足のラインなど。哀愁漂う佇まいや雰囲気がとても印象に残り愛おしくなりました。デニム布を使用して作られた愛犬の立体キルト。耳を切りっぱなしで表現し、また首元には赤いバンダナでアクセントに。この独創的な立体リストの発想に驚き、作者の愛犬に対する愛情の深さを感じました。

Patch-Work-Life

海の貴婦人親子

【小キルト】
タイトル:海の貴婦人親子

作者:大迫 綾美(高知県幡多郡黒潮町)

【作者メッセージ】
布や小学校で買った裁縫道具と向き合ったのは何年ぶりだろう。記憶の中では、家庭科の授業以来。キルトの前にまずは、玉結びから。「糸をこーしてクルクルねじればできる」という先生の説明。できん!だからいつも固結び2回。だったのが、今回キルトを始めてクルクルの理屈が分かり、できるように!!レベル上がった私!縫い終わって、さぁ玉止め。これもできん。「針に糸をクルクルして爪で持ったまま針を抜く」びよ~んと余白。これは最後まで習得できず。また来年頑張ろう。

タイトルのネーミングも素敵です!作品全ての布を青系の布で統一し、バンダナの柄を用いてニタリクジラさんの表情や描写を上手く表現されています。背景に使用されたワッフル地が太陽の光を受け、海水の流れや深みを感じさせ、その海中を泳ぐ親子のクジラさんのフォルムや動きがとても上品で優雅に泳ぐ姿が目に浮かんできました。作品づくりに悪戦苦闘されながらも、作者の表現したい世界観が伝わる、布を楽しまれた作品に仕上がっています。

Patch-Work-Life

【全部門より】

審査員:自然工房

「!」賞 1点(賞金1万円)

布を楽しむ ~ようこそパリへ~

【小キルト】
タイトル:布を楽しむ ~ようこそパリへ~

作者:近藤 紀子(愛知県名古屋市名東区)

【作者メッセージ】
お気に入りの布を自由につないだら1枚布のようになりました。刺繍とキルトだけでは少し単調かなと思い、チャームを作って付けました。子供の頃の洋服に付いていたタグやボタンを再利用し、リボンやブレードもプラスしました。今回の作品は、ちゃんとした製図が無いです。お手本になるような作り方を見ることもなく、布を楽しむことによって出来た作品です。憧れのパリへの思いが伝わるといいなと思います。

1目みておしゃれなキルトだナと思いました。出来そうでできない布の組み合わせ…。憧れが色に表れていると思います。この感性を持ち続けてほしいと思います。

自然工房

審査員:来場者

砂浜美術館賞 2点(次回キルト展応募券)

かわいい草花

【大キルト】
タイトル:かわいい草花

作者:田岡 朝子(高知県香美市)

【作者メッセージ】
私の家のまわりには、まだ自然がのこっています。シロツメグサ(クローバー)、カラスノエンドウ、オオイヌフグリ、エノコログサ(ネコジャラシ)などたくさんの小さくて、かわいい花が咲きます。

思いをつなぐ

【大キルト】
タイトル:思いをつなぐ

作者:佐賀町民館デイサービス(高知県幡多郡黒潮町)

【作者メッセージ】
区画ごとに一人ひとりの思いが込められ、つながり大きな作品となりました。佐賀町民館のデイサービス参加者には、パッチワークが得意な方も、苦手な方もおられます。しかし、制作中の参加者に笑顔や笑い声が絶えることはありません。ひとりでは完成が難しかった方も皆と一緒に作り上げ、つながった時、その区画はなくてはならないものとなりました。誰もが手を取り合い、分かち合える社会になっていくよう、ここから思いをつなぎ始めます。

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