第29回潮風のキルト展

第29回潮風のキルト展

第29回潮風のキルト展

日時 :2023年11月17日(金)~19日(日)10:00~15:00

場所 :砂浜美術館(高知県黒潮町 入野松原)※雨天:ふるさと総合センター

Patch-Work-Lifeさん

審査員 :Patch-Work-Lifeさん

【プロフィール】
『あなたがパッチワークすれば、世界はもっと楽しくなる。』をテーマに、インテリアデザイナーとグラフィックデザイナーの目線で創りだすあたらしい「デザイン×パッチワーク」のカタチを発信しています。

【総評】
『布を楽しむ』をテーマに、今年も沢⼭の素敵な作品を「潮⾵のキルト展」にご出展いただき、誠に有難うございます。今年で第29回を迎える「潮⾵のキルト展」の審査を務めさせていただきました、Patch-Work-Lifeと申します。今年も全国から沢山のキルト作品がこの砂浜美術館に集結し、『布を楽しむ』というテーマの下、どの作品からも、作者の描写や表現方法から様々な思いを込められたことが伝わってきました。なによりも楽しく創作されたことが伝わってくる作品ばかりで、審査させていただいた私たちもワクワクした思いで楽しく拝見させていただきました。今回の作品では、様々な布の繋ぎ方や配色・素材・ステッチなど、布と糸の創作工夫が見られた作品が多く、また、皆さまのメッセージからキルトの製作へと上手く表現・描写された作品が沢山見られました。

「自身の気持ちや想いを表現されている」
「切り口やオリジナルの創作がされている」
「創意工夫を楽しんでいる」

上記の項目をポイントに、今年もまっさらな気持ちで精一杯気持ちを込めて審査させていただきました。選ばせていただいた各賞作品は、特に私たちの足を止め心揺さぶられた作品です。キルトやモノづくりを通じて、皆さまの毎日がより良い暮らしや時間になればと心より願っています。

「あなたがパッチワークすれば、世界はもっと楽しくなる。」

パッチワーク・キルトを通じて、みなさまが布を楽しみ、様々な方が笑顔になれますように。

Patch-Work-Lifeメンバー 一同

入賞作品一覧


【大キルトの部】

潮風大賞 1点(賞金10万円)

恵の海

タイトル:恵の海

作者:背黒 富志枝(群馬県前橋市)

【作者メッセージ】
一度汚染された河川や九州の海、さまざまな取りくみを通して、タツノオトシゴが生息するまでに回復した事、テレビで知りました。私に恵を持たらす豊な海をキルトで表現したいと思い製作しました。松林の自然の光浴びて潮風にゆらゆらと、たなびくキルト。海亀は主人のネクタイで作り仲間入りしました。海面状に光がさしこむ様子、少し考えました。

海亀・魚・タツノオトシゴ・海藻など、豊かな海の中を舞う生物たちのリアルな描写に、力強さや躍動感、また作者の創作エネルギーを感じました。波の動きをバージニアリールで製作され、繊細で丁寧な手仕事や工夫、様々な布を使われた表現の幅に感動を覚えました。「恵の海」の中の優しい光の広がりに希望を感じることができる、美しくダイナミックなキルト作品です。

Patch-Work-Life

潮風賞 1点(賞金5万円)

いつも空から

タイトル:いつも空から

作者:遠藤 潤子(群馬県前橋市)

【作者メッセージ】
大好きな母に想いを込めて作りました。風になったり鳥になったりしていつも空から見ていてほしい。もう一度 話がしたいな。母に 会いたいな。右下のミラーのある家で 待ってますよ。
 

この作品を拝見した瞬間に、インパクトと印象がとても残った作品。細かく繊細なデザインを布色の濃淡やカーブで上手く配置され、躍動感と創作感を布で見事に表現されています。メッセージや作品の細部からも、母への愛情や思いが感じられるとても気持ちの良い作品に仕上がっています。右下のミラーの家。見つけましたよ!

Patch-Work-Life

ささやき賞 1点(賞金2万円)

故郷(ふるさと )・黒潮町

タイトル:故郷(ふるさと )・黒潮町

作者:武藤 美佐子(福島県二本松市)

【作者メッセージ】
昨年初めて、黒潮町潮風キルト展を訪れ、そこで出会ったらっきょの花の愛らしさに魅了され、鰹の美味しさに満足して帰って来ました。それをキルトに表現したいと思い、元気な鰹はビニールで被い、その他の鰹はチュールにステッチし、群れを表し、らっきょの花だけでなく、らっきょもアップリケで、波はキルトラインに変化をもたせ、穏やかで、荒々しい土佐の海を、この作品を観たら黒潮町の砂浜を思い出すキルトに表現しました。
 

キルトから今にも飛び出してきそうなダイナミックで活きのいい鰹。鮮度抜群ですね!!メインとなる鰹の身体の表現にビニールを用いたアイデアで、躍動感と力強さを見事に表現されています。背景に沢山ステッチされた鰹もメインとなる鰹を上手く引き立てていますね!作品全体のキルトには、水色と青色の布を基調とし、また、躍動する鰹を囲んだらっきょの花がデザインアクセントとなり、オリジナリティが感じられる素敵な作品に仕上がっています。黒潮町や砂浜美術館を見事に表現されましたね!

Patch-Work-Life

【小キルト・クッションの部】

こもれび大賞 1点(賞金2万円)

Keep it up !(いいね、その調子!)~memories of La Jolla Cove, summer 2023~

【小キルト】
タイトル:Keep it up !(いいね、その調子!)~memories of La Jolla Cove, summer 2023~

作者:土井 和代(神奈川県横浜市栄区)

【作者メッセージ】
今年の夏、カリフォルニア州サンディエゴの海辺、ラ・ホヤを訪ねた。野生のアシカやアザラシの生息地だ。ヨチヨチと波間の岩によじ登る小さなアシカとその後ろで、たぶん親なのだろう、見守るアシカ。赤ちゃんはときどき転けて滑る、なんとも愛らしかった。浜は海水浴を楽しむ人々と私たちのような観光客で賑わっていた。時々、近づきすぎる人間がいると威嚇する他は人間など気に留める様子もなく堂々とした浜の主たち。ここでは2フィートという絶妙な間合いで自然と人との秩序が保たれているようだった。
 

岩の上で堂々と寛ぐアシカの姿を、濃淡のついた茶系単色布を用いピーシングやキルトラインで今にも動き出しそうな表情や佇まいを立体的に創作。作者の描きたい世界観が上手く細部まで表現され、現代的なモダンキルトに仕上がっています。また、背景の波や岩場や空を、それぞれの描写に合わせたメリハリを付けたピーシングやキルトラインで、丁寧にかつ繊細に表現され、作品全体の空気感を創出しています。グラフィック性とインテリア性を兼ね備えた現代的なモダンキルト作品です。

Patch-Work-Life

こもれび賞 2点(賞金1万円)

サギ集団

【小キルト】
タイトル:サギ集団

作者:山本 あやみ(高知県幡多郡黒潮町)

【作者メッセージ】
緑のたんぼに白いサギ集団。好きです。この集団。 長い首を伸ばしてすましている子。これまた長い足で忍び足をして獲物を狙っている子。どれだけ見ていても動かない子。動かない、動かない、動きません…ということで、違う子も交じってしまいました。稲刈りが終わって2番穂が出たたんぼにいるサギもまたいいなと思い、ビーズできらきらさせてみました。
 

サギ集団!タイトルだけを見たときどんな作品かなと想像させるくらいインパクトのあるタイトルですね!背景の緑と白のストライプ布をランダムにピーシングされ、それらの曲線や流れが作品に立体感や奥行感を創出されています。それぞれのサギの大きさや動きにも工夫が溢れ、また、サギ集団の中にハシビロコウが急に現れている様子も布を楽しみ発想の広がりが感じられ楽しかったです。

Patch-Work-Life

吹き寄せ

【クッション】
タイトル:吹き寄せ

作者:中原 令子(東京都日野市)

【作者メッセージ】
古い継ぎの当った着物地、風呂敷、端布や蚊帳。大事に取って置いた、ボロと言われる捨てられる布等。いとおしくてたまらない私の宝物は落ち葉に生まれ変わりました。ことんと落ちたドングリに、リスが遊びに来てくれるといいな。後の布地は裂き織り。布(ボロ)を最後まで使います。デザインと立体キルトは、オリジナルの技法です。
 

葉の一枚一枚や、葉の葉脈が本物の落ち葉のようですね!また、その落ち葉が積み重なって森の地面を取り出したような、布の選定やキルトラインで製作された創作力と表現力。お見事です◎形状・配色・手法(トラプント?)・キルトライン・枯れている葉の表情。虫食いで穴が開いていたり腐食していたり。リアルな要素を表しながら、布を愛し布と糸を楽しみながら製作されている姿が、作品全体から感じられました。

Patch-Work-Life

砂浜美術館賞 2点(次回キルト展応募券)

審査員:潮風のキルト展実行委員会

輝 ~ひかり~

【大キルト】
タイトル:輝 ~ひかり~

作者:佐賀町民館デイサービス(高知県幡多郡黒潮町)

【作者メッセージ】
佐賀町民館で行っているデイサービス事業へ参加している方々の思いが輝き、一つひとつがつながり大きな希望のひかりになりました。参加者の方々の輝いている時間がひと針ごとに込められ、喜びと幸せがあふれています。
 

コツコツとみなさんで創り上げた力作に感動しました。

潮風のキルト展実行委員会

審査員:砂浜美術館

スカイツリー水族館

【大キルト】
タイトル:スカイツリー水族館

作者:野田市立南部中学校14組(千葉県野田市)

【作者メッセージ】
クラスの仲間とアイディアや発想を出し合い、まるで、魚たちが東京の街を泳いでいるかのようなキルト作品を作り上げました。こういったアイディアや発想を生み出すのにひとりひとりが同じ立場で作品作りをしているということを大切にしてきました。一つ一つ丁寧に手縫いで縫ったり、ミシンで縫ったり、さらにはスカイツリーをより立体的に見せるために綿を詰めたりと、色々な工夫をしてきました。
 

スカイツリーの高さを生かした縦長のデザインや、東京の街を水族館に見立てた創造性が目を引く作品。ひとつひとつの生き物のつくりも可愛く、とても愛らしい。布を楽しむというテーマと同時に、作品作りも楽しんでいる様子が伝わってきます。

砂浜美術館

特別賞 杉本伸夫賞 1点(賞金5千円)

審査員:杉本伸夫
※黒潮町民の方からご提供いただいた特別賞です

館長と灯台

【大キルト】
タイトル:館長と灯台

作者:田邉 美波(千葉県茂原市)

【作者メッセージ】
今回初めて応募したいと思ったのはテーマが楽しそうだなと思ったのと、あまりにも素敵な美術館と美しい景色にファンになったからです。自分でオリジナルを作り始めたのも去年からで完成したらどうなるかもわからずに、楽しくニタリクジラ館長といつか見てみたい足摺岬灯台の絵をアクリル絵の具で描きました。ペイント刺繍をして周りも館長のしっぽをハワイアンキルトの雰囲気も出しつつ砂浜に合うように仕上げました。
 

僕の一番好きな作品でした。

杉本伸夫

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