第30回潮風のキルト展
日時 :2024年11月15日(金)~17日(日)10:00~15:00
場所 :砂浜美術館(高知県黒潮町 入野松原)※雨天:ふるさと総合センター
審査員 :Patch-Work-Lifeさん
【プロフィール】
『あなたがパッチワークすれば、世界はもっと楽しくなる。』をテーマに、インテリアデザイナーとグラフィックデザイナーの目線で創りだすあたらしい「デザイン×パッチワーク」のカタチを発信しています。
【総評】
今年で第30回を迎える「潮風のキルト展」の審査を務めさせていただきました、Patch-Work-Lifeと申します。
私達は2016年から審査員をさせていただき、様々な作品に出会ってきました。
毎年新鮮な気持ちで、毎年まっさらな気持ちで。私達は毎回おどろき、
「布を楽しむ」という事をこの砂浜美術館で感じています。
ここでしか見れない景色、ここでしか見せない作品の表情。
潮風のキルト展がもっとたくさんの方に届き、参加し、訪れる。
審査は作者との会話です。
どんな想いでつくり、それがどう伝わったか。どう感じたかのコミュニケーション。
今あるものを壊して新しいものをつくるのではなく
見方や視点を変えることで新しい価値は作れる。そう考えられるようになりたい。
一つ一つが作品ですが、砂浜美術館とこの場にあるすべての作品が
「潮風のキルト展」の一つの作品なのです。
Patch-Work-Lifeメンバー 一同
入賞作品一覧
【大キルトの部】
潮風大賞 1点(賞金10万円)
タイトル:深更の密林で
作者:土田 祐子(福岡県福岡市南区)
【作者メッセージ】
絵を描く様に縫うのが好きです。暮しのいろいろな場面で、モチーフやテーマのヒントを見つけるとうれしい。縫っている時、布にふれている時は、空想の中で遊ぶ気持ち。この作品も、私を非日常にあそばせてくれました。深い闇と深い森とそこにいる生き物たち。ワクワクします。モノを創ると言うシンドさとよろこびを、かみしめて。
「深更の密林」まさしく、ドキドキするような静けさと不気味で不思議な雰囲気が漂ってくる作品ですね。プリント布を立体的に用い細かなところまで丁寧に制作され動物たちの何とも言えない目つきや表情など、作品全体の描写が見事に表現されています。周りに配置されている葉っぱが、松原と融合し、森の中のうごめきや、動物たちの声が今にも聞こえてきそうで、松原がジャングルの一部に見えてきました。 Patch-Work-Life |
潮風賞 1点(賞金5万円)
タイトル:イカぐるぐる
作者:前田 扶規子(神奈川県横浜市戸塚区)
【作者メッセージ】
海辺の観光地でぐるぐる回るイカが食べたい
みんなそう思って注文しちゃうからあまり残ってないよ
早く注文しようよ
結構人が並んでるよ
私達の順番までイカが残っていますように
あ、ひとつ飛んでいっちゃった
回転式魚干し機をモチーフにした独創的な作品。六角形の歪んだ干し機と背景のステッチで遠心力を表現し、イカが躍動する日常の風景をキルトで一コマに凝縮。黒い布をガーゼ布にまつりこむ技術など、どのように制作されたのか知りたいほど魅力ある作品です。イカの躍動感が生み出すダイナミックな動きと、静寂な背景との対比がとても印象的に残り、作者の豊かな想像力と高い表現力と創作への情熱が強く感じられる素晴らしく斬新な作品です。 Patch-Work-Life |
ささやき賞 1点(賞金2万円)
タイトル:トビウオ飛んだ!!
作者:藤川 さち子(徳島県阿南市)
【作者メッセージ】
小さな舟のすぐ近くの波間から、羽根を広げた魚が飛び出し、ずいぶん長い間飛ぶのにビックリしました。今見えない海の中はどうなっているんだろう?と思いながら、藍の古布、茶色の古布、かすりのもんぺい等で、3㎝の6角を3000枚つなぎ、波は白がすり、魚は古布の帯地を使って、楽しみながら作ってみました。
6角形!3cm!3,000枚!全てはめこみ!お見事です!!渦巻く海水と、その中で悠々と泳ぐ魚たちの姿が幻想的で作品全体を上手く纏められています。海中の様子を6角形のみで形にされた表現力と作品から溢れだす情熱に圧倒されました。作者の幻想的なイメージを様々な布で配色された楽しく見惚れてしまう作品です。 Patch-Work-Life |
【小キルト・クッションの部】
こもれび大賞 1点(賞金2万円)
【小キルト】
タイトル:ゆっくり休んでいかんかよ
作者:西峰 政子(高知県土佐郡土佐町)
【作者メッセージ】
ずっと走り続けていたのに、
ある日倒れこみ動けなくなった。
なんで私が…受け入れる事が出来ずもがいていた。
そんな中、ゆっくりしいや、休んでね。
皆のあたたかメールが届く。
やっと現実とむき合う事が出来た。
これからはゆっくり歩いていこう。
柔らかい表情と作品。見ている方の気持ちが温かくなるような、ほのぼのとさせる素敵な作品ですね!背景の淡いムラ染めの上に横たわるおばあちゃんの配置が、よりおばあちゃんの姿を際立たせ、作品全体を印象づけています。顔の表情や橙布の使い方。また、かすり布を使ったもんぺや上着の布や手ぬぐい。今にものっそりと動き出しそうです。布を上手く用いた描写が素晴らしく、タイトルとメッセージと作品のすべてが見事に繋がっていました。 Patch-Work-Life |
こもれび賞 2点(賞金1万円)
【小キルト】
タイトル:あふれでたもの
作者:衣川 二三(高知県幡多郡黒潮町)
【作者メッセージ】
開業予定が頓挫し、廃棄されるはずだったホテルのバスタオルとハギレをアップサイクルした作品です。ダーニング、刺繍、刺し子、パッチワークの技を取り入れ、全工程手縫いで仕上げました。本来、ゴミになるはずの素材が、自分からあふれでた柄を加えることで、日々を彩る作品に進化しました。制作中に、点が線になり、一見バラバラに見えても、海も山も生きものも全て繋がっているという思いがふと湧き出て来ました。
境目はあるけど境目が無い、自由に繋がりが広がる作品で、作者の創作意欲を感じました。様々なステッチの種類や組み合わせ、色とりどりの刺繍糸でマンボウやタコなどが自由に泳ぎ、作品から楽しさが溢れだしています。自由度や創造性は見る人の足を止め、作者の溢れ出た感情を作品から感じ取ることが出来ました。 Patch-Work-Life |
【クッション】
タイトル:潮風のキルト展、30周年おめでとう!!
作者:本田 喜久美(福岡県春日市)
【作者メッセージ】
私は、今年で3度目の応募です!
毎年作品作りを楽しみにしています。
潮風のキルト展、ことしは30周年とのことでケーキでお祝いを!と思いつき、キルト展のいろんな場面をケーキの中に盛り込みました。
可愛いクッションになりましたが・・・・
ちょっとクッションをはみ出してしまいました!
創作立体クッション!作品からお祝いの気持ちがとても伝わってきました!白い生クリームの部分を、上手く布を縫い縮じめ、フワフワと滑らかで美味しそうな本物の生クリームのように制作されています。らっきょうの花やTシャツアート展などの砂美デコレーションも可愛らしく、布の使い方から、楽しさや面白さ遊び心などが伝わってくる、30周年潮風キルトおめでとうケーキが完成しましたね!たべたいなー Patch-Work-Life |
砂浜美術館賞 2点(次回キルト展応募券)
審査員:潮風のキルト展実行委員会
【大キルト】
タイトル:夜が明ける
作者:菊池 郁美(熊本県熊本市)
【作者メッセージ】
キルトを始めて、早起きになった気がします。皆が寝静まった夜、コツコツ縫うのも好きだけど、少しずつ明るく変わっていく空の美しさを知ったから。ほら、今日も新しい1日が始まる瞬間に立ち会えました。
暗闇の中、赤や黄色のコントラストが印象的でした。躍動感を感じました。 潮風のキルト展実行委員会 |
審査員:砂浜美術館
【大キルト】
タイトル:SUNAHAMAサンプラー
作者:わたなべ ともこ(高知県高知市)
【作者メッセージ】
久しぶりにサンプラーキルトを作りました。メイン素材は意図せず手元に集まったちょっと手強い南国の生地たち。その中に海を感じる柄もあり、入野の浜を思い浮べ、自分なりの意味づけをして作ることに。例えば〝風〟〝太陽〟〝ヒロガリ〟〝ツナガリ〟・・・・どんどん楽しくなってきて初心者の頃のワクワクを思いだしながら作りました。このキルトの全てのパターン、実は対になっています。どれとどれがペア?と楽しんでいただけると嬉しいです。
目を引くカラーと、様々な素材の組み合わせも目を引きました。“ツナガリ”というキーワードや、作る楽しさ、見る側への楽しみを見出してくださっているところが、潮風のキルト展にぴったりです。 砂浜美術館 |
特別賞 大塚和助賞 2点(賞金5千円)
審査員:大塚和助
※幡多郡三原村出身のイラストレーターの方からご提供いただいた特別賞です
【大キルト】
タイトル:おかえり
作者:小久保 寿子(京都府亀岡市)
【作者メッセージ】
戦争や紛争で故郷を追われた人々に「おかえり」と言える世界、命の尊厳を守れる世界が一日も早く訪れますようにと願って、この作品を作りました。
一見地味な色調の、のどかな田園風景。お日さまとざわっとした風のタッチが力強い。タイトルの「おかえり」は作者の情景なのでしょう。 大塚和助 |
【大キルト】
タイトル:ぐるぐる
作者:山﨑 千恵(高知県高知市)
【作者メッセージ】
今年は丸いパターンで作りたいと思い、浮かんだイメージで、ラフスケッチを描いて作ってみました。キルトステッチもひたすらグルグルと縫ってみたら、結構楽しめました。会場でひらひらとはためくとどんな感じかな?まだ広げて全体を見てないので、とても楽しみにしています。
細かな丸の幾何学模様が56個。デザインはシンプルだが落ち着きのある色のトーンが心に残る。 大塚和助 |