すなびのカタチ:ひらひらフレンドシップ

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毎年5月、高知県黒潮町の砂浜美術館で開催される、Tシャツアート展。地面に杭をうち、キャンバスにみたてたTシャツがひらひらするだけで、そこはりっぱな美術館になります。 HIRAHIRAフレンドシップは、この「砂浜美術館」の考え方で、そして「Tシャツアートのひらひら」を通して、あなたの町に美術館をつくり、ありのままの風景を楽しくしていくネットワークです。

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黒潮町・砂浜美術館で開催されているTシャツアート展は1989年に『そもそものきっかけ・39日間の物語』を経て、砂浜美術館という考え方を獲得し、10回、20回、30回と続き黒潮町(旧大方町・旧佐賀町)の代表的なイベントになった。2024年5月で36回目を迎える。最初の10年は立ち上げメンバーのエネルギーのままにグイグイ進み、次の10年はNPOになり地道に継続を重ねた。その次の10年は砂浜美術館が世界の国に広がり始めた。海外でもひらひらの風景が展開されているわけだが、ここでは国内の各地でこの風景を楽しんでくれている仲間がいることを紹介しておこう。2023年には徳島、香川、愛媛、東では茨城県大洗町でも砂浜美術館の考え方に共感し、ひらひらの風景を楽しんでくれている。その仲間たちはどんなきっかけで地元でTシャツをひらひらし始めたのか?素朴な疑問ではあるが、我々にとってもとても興味深いので今回は茨城県大洗町の『風にころがるTシャツ展』の栗原氏と、愛媛県の3か所で『せとうちTシャツアート展』を開催している重藤氏にお話を伺ってきた。

伝えたいのは考え方です。

まず2人に共通していたことは、やはり砂浜美術館の考え方に共感できたということだった。それはもちろんうれしいことであり大前提でもあるわけだが、表現の仕方は少し違った。

茨城県大洗町の栗原氏は『今あるものを見立てるっていうのがとても面白いと思った』と言った。

そして栗原氏はこうも続けた。『大洗町の人って意外と海に全然来ない。このまま何もしないでいると大洗町の海が、町の人からどんどん離れてしまう気がして、それはちょっと嫌だった。Tシャツ展をすることでそこのつながりを回復するきっかけになればと思った。』

会場である大洗サンビーチは県外からの潮干狩り客がとても多く、近辺では海の幸が楽しめる、黒潮町と同じように海の恵みあふれる町である。しかしながら震災や津波被害があったことも影響してか、堤防が継ぎ足され、沿岸の道路からは海が見えないところもある。地元の人にとって海はどんな存在なのだろうか?

ちなみに栗原氏は大の釣り好きでもある。『釣りって片方に自然があってもう片方に人間がいて、その自然と人間が接触する部分で釣りっていうのが行われている。つまり人と自然とつきあい方を考える時に、ひとつの形として現れるのが釣りだっていう思いに至った。それはTシャツ展も一緒だなと思ったんですよね。砂浜を美術館と見立ててそこに作品(Tシャツ)を展示し、そしてTシャツばかりが作品ではなく、カモメとかハマグリとかそういったものすべてが作品だっていうのは、やっぱり人間と自然が触れ合うところで、どういう風に触れ合っていくのかを考えるバリエーションのひとつだと思う。だから自分の中ではTシャツ展という行為と釣りという行為が根底的には人と自然のつきあい方として一つのカテゴリーでくくられると思っている。だから同じこと。』

みなさんはこんな文章があることを知っているだろうか。

『自然保護に敵というものはいない。もし自然を破壊してお金を儲けようとする人がいても、その人はただ自然の真の価値を知らないだけなのです。だから私たちは戦うのではなく、真実の価値が何か熟知することによって合意できると思うのです。』

栗原氏を見ていると、まさにこの文章を体現し、砂浜美術館の永遠のテーマである『人と自然のつきあい方』を大洗町の海辺でTシャツ展と釣りを通して目いっぱい楽しんでいるように思う。

茨城県大洗町 栗原敬太氏のインタビュー動画はこちらから

『そうなんよね。』

愛媛県の重藤氏は、Tシャツアート展を初めて見た時の感想は、今までのイベントとはインパクトが違ったそうだ。そして砂浜美術館の考え方は自分と合致というか、ハマったという。コンセプトを読んだときに『そうなんよね。』と思ったそうだ。どういう事かと言うと、そもそもバックグラウンドとしてそういった考え方は自分の中にもあったそうだが、それを砂浜美術館が言葉として理論的に表現していたことに出会えたということだ。重藤氏はこうも言う。「極端に言えば僕は自分がやりたい場所で一枚でもTシャツを飾れば、それで立派な美術館だと思っているし、展覧会ができる。だから枚数がどうこうっていうのはあんまり思ってない。」

そして彼は沖縄でもTシャツアート展を開催したいと企んでいるようだ。沖縄でのストーリーを彼はこんな風に言っている。『宮古島とか行って、1人でTシャツ持って、そこで飾って、座ってやりたい。そこから宮古島のTシャツアート展のストーリーを作って仲間を作るイメージがある。どう広がっていくのか?その広がり方も楽しみ。』

好きな場所を美術館にして、その風景を楽しみながら展覧会するなんて素敵じゃないですか?そしてその広がり方まで楽しもうとしている。本当の豊かさというもの問われて久しいが、これほど豊かな感性と遊び心を実践できている人が世の中にどれだけいるのだろうか?

クリエイティビティ

日本人の若者たちは、自分たちを「創造的」とは捉えておらず、自らを「創造的」と回答した人はわずか8%だったという。これはAdobeが実施したある調査結果である。世界平均の44%に比べて著しく低い結果だ。

社会問題や地域課題がこれまでになく多いこの時代に、課題解決できるのは若い世代のクリエイティビティであることは間違いない。砂浜美術館のある黒潮町では最近【空想(もうそう)をカタチにする町】(*1)というテーマが掲げられた。黒潮町の子どもたちはこれからどんな空想・妄想をカタチにし、美しい砂浜が美術館であり続ける町を創っていくのだろうか。

少し話が逸れてしまったが、Tシャツアート展・ひらひらフレンドシップを通じて本編では、黒潮町以外でTシャツをひらひらさせている創造的な2人のおじさんを紹介させていただいた。砂浜美術館が始まって以来、よく言われていたことが「考え方は伝わるのか?」である。ひらひらフレンドシップの開催地が増えていけば、確実に【考え方】は伝わっていくだろう。そして今回ご紹介したような創造的な人が増えていけばさまざまな課題解決につながっていくと考えている。

だから「ひらひらします。」あくまでも。

●註

*1 「こうだったらいいなぁ」の空想をカタチにしていく町・人であろう!

『空想(もうそう)』とは「大きな空想(くうそう)はひとりの妄想(もうそう)から」の思いをこめて、「空想(くうそう)」をあえて「もうそう」と読む、オリジナルの言葉です。

【『HIRAHIRA TIMES 2024』(非売品)より】

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≪筆者≫
塩崎 草太(しおざき そうた)

兵庫県生まれ。地域おこし協力隊で5年前に黒潮町へ移住。その後砂美スタッフ。
砂浜美術館観光部でTシャツアート展などのイベント(シーサイドギャラリー)を担当。

オンラインワークショップイベントのお知らせ

オンラインワークショップイベントのお知らせ

現在作品募集中の第36回Tシャツアート展!
あなたのとっておきの一枚で、ひらひらの風景に参加してみませんか?
今回は砂浜美術館と適十塾でAdobe Expressを使ったオンラインイベントを開催いたします。

日時 :2月18日(日)13:00〜14:30   場所 :オンライン(Zoom配信)

申込締切 :2月16日(金)         参加費 :無料

◆ご登録のメールアドレスに、前日15時までにZoom URLをお送りいたします。下記参加申込フォームより、お申し込みください。
◆事前にご準備いただきたいもの:Adobe ID(アドビのアカウント。登録無料。登録方法はこちら

参加申込フォームはこちらです。(締め切りました)

オンラインワークショップイベントのお知らせ

2023年もありがとうございました!:大方ホエールウォッチング

2023年もありがとうございました!:大方ホエールウォッチング

2023年もありがとうございました!

ホエールウォッチング担当の大迫です!
今年は、雨や風に悩まされる日が多かったですが、出航した日にはクジラやイルカたちをはじめ、海に暮らす生き物たちのいろんな姿を見ることがで来ました。
毎年船に乗っていますが、毎回違う出会いがあるのでいつも新鮮です!

「クジラのうんこプロジェクト」
~“見る”から“知る”ホエールウォッチングへ~
今年日本で初めてのプロジェクトをスタートしました。
思ったように採れなかったりして1年目の苦労がたくさんありましたが、2024年も継続予定です。またご協力をよろしくお願いいたします!

大迫綾美

ホエールウォッチング担当:大迫 綾美

【プロフィール】
広島県出身。専門学校卒業後、NPO砂浜美術館に参加。大方ホーエルウォッチングでは、受け付け、ウォッチングガイド、出前授業、イベント企画、会計に至るまで、何でもこなすオールラウンドプレイヤー。



たくさんのご感想ありがとうございます!

とても楽しめました。海に出て360度水平線を感じたのが気持ちよく。イルカもたくさん見れたし、クジラは少しでしたが、10分おきに探すのも楽しめました。次は少しクジラ探しも上手くなってるはず。子供の体験としても大満足です。また来たいです。

なかなかクジラに会えない中最後までありがとうございました。船長さんとガイドさんの真摯な姿勢が最後に素敵なクジラに合わせてくれました。最高の思い出になりました。ありがとうございます^_^ SNSで拡散しておきます!

とても勉強になる、楽しい知識を事前にもツアー中にも教えて下さり、ホエールウォッチングが何倍も楽しくなりました!船長さんも一緒に写真を撮ってくださったり、操縦席を見せてくださってとても子供が喜んでいました。大きいクジラさんをゆっくり見せて頂き、大変な思い出になりました。本当にありがとうございます!

野生動物の迫力を体感できて、人生の大きな糧になりました。また来たいです!

テレビで見るのと、体験するのとでは全然違う。船の揺れもすごい。景色すごくきれい。トビウオのジャンプびっくりしました。くじら見れませんでしたが、イルカの大群を見ることができました。貴重な体験ができて良かったです。ありがとうございました。

暑いなか、長時間のガイドと運転ありがとうございました。くじらは見る事ができず残念でしたが、逆に自然を感じられて楽しかったです。またきます!

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大方ホエールウォッチング(おおがたほえーるうぉっちんぐ)
黒潮町にある大方遊漁船主会が運営している。
ご予約についての詳しい情報はこちらからどうぞ。

第36回Tシャツアート展 ボランティア募集は終了しました!

第36回Tシャツアート展 ボランティア募集!

活動期間 :2024年4月29日(月)~5月8日(水)

応募締切 :2024年3月4日(月)

募集定員 :10名程度

広い砂浜でたくさんのTシャツがひらひらする、砂浜美術館のTシャツアート展。
この“ひらひら”の風景づくりに、あなたも参加してみませんか?
ただ今、Tシャツアート展ボランティア(Tボラ)25期生を募集中です!!
広い空、青い海、人、Tシャツ、おいしい地元ご飯… たくさんの素敵な出会い☆
黒潮町・砂浜美術館を、”フルコース”で体感できます。


4つの素敵な出会いをご紹介します♪

その①「浜」

その①「浜」

天井も壁もない広い広い砂浜美術館に、みんなの手で創りだすひらひらの風景。世界で1つだけの壮大なアートが出現します。そして、期間を通して丸1日過ごす砂浜での時間…風がやんでピタリととまったTシャツ、ひらひらと風におどるTシャツ、潮が満ちて水辺に映るTシャツ、夕日に輝く貝殻、広い青空にぽっかりうかんだ雲などなど、旅行では見られない、とっておきの姿にもきっと出会えるでしょう!どんなに眠くても、”日の出”は毎回大人気☆

その②「人」

その②「人」

「とにかく人がおもしろい!集まるボランティアも地元の人も「楽しみを見つけ出す」のが得意な人が多いです。Tボラの先輩たちもたくさん帰ってきます。(なんと、Tボラ同士で結婚した夫婦も!)さらに、審査のお手伝い、交流会など審査員との出会いも楽しめます。新たな感性との出会いに、乞うご期待です!

その③「宿」

その③「宿」

「行ってらっしゃーい」「おかえりー」と、地域のお母さんたちが出迎えてくれる期間中の”わが家”は、なんと小学校。廃校を活用した宿泊施設「であいの里蜷川」は、黒板も図書室もそのまんま。懐かしい小学校の中に、ボランティア仲間たちと布団を並べて泊まるって、ワクワクします!山あいの校舎から見上げる星空も、格別ですよ~☆

その④「食」

その④「食」

朝と夜のご飯は、地域のお母さんたちの手料理。栄養・量・愛情たっぷり!とっておきの田舎の家庭料理は、ある意味一番のごちそうです。(野菜嫌いだった人が克服することも?!)お昼は地元商店の手作り弁当を砂浜で。美味しい空気と愛情ごはんをモリモリ食べて、黒潮町の自然の恵みを堪能しましょう。交流会と慰労会では、地元の宴会も体験できます♪「黒潮若手の会」の心づくしのおもてなし”黒潮BBQ(メンバーの畑や海から調達した黒潮町の恵み満載の極上BBQ☆)”が味わえるのも、Tボラの特権です!!


ボランティアだけのうれしい特典♪

期間を通して参加くださる方には、Tボラのユニフォーム(?)をプレゼントします!Tシャツアート展の作品Tシャツと同じオーガニックコットンのスタッフTシャツと、貴重な国産・しかも町内産!のジーンズ。提供は、砂浜美術館を長い間応援してくださっている、久米繊維工業株式会社さんと地元黒潮町にある有限会社じぃんず工房大方さんです!

スタッフTシャツ2024(2枚)・・・Tシャツアート展に合わせて作られるスタッフTシャツ。毎年色が変わります。さて今回の色は…?

スタッフトレーナー2024・・・砂浜美術館スタッフでさえ手に入れることのできない、完全ボランティア限定のTボラトレーナー。朝晩もこれがあれば大丈夫!こちらも久米繊維さん製です。

オリジナルジーンズ・・・クジラのしっぽのモチーフを刺繍したオリジナルのisaジーンズを、色やスタイルも、お好みに合わせてご提供くださいます!集合の日に、直営店にジーンズ選びに行きますよ♪


砂浜美術館からのメッセージと活動内容☆

私たちの活動は今年で36年目となりますが、この活動を町や住民と共に支えてくださっているのが、全国の方々の賛同と協力です。ただ今事務局では「第36回Tシャツアート展」の運営にご協力いただけるボランティアスタッフを募集しています。代表的なオリジナル企画である「Tシャツアート展」。自然に恵まれた黒潮町に滞在し、砂浜美術館の壮大な風景を一緒に創りあげてみませんか?

活動詳細

ボランティアのみなさんには、
こんなことをお手伝いしていただきます☆

●会期前日のTシャツ展示作業。町内の方と一緒にひらひらの風景を創ります!

●審査員が全作品を審査する際の補助をしてもらいます!そしてTボラの皆さんも審査員となって、<世界でひらひら賞>を選んでもらいます。

●会期中は入り口での受付作業やグッズの販売もします。

●最終日には名残惜しみながら、Tシャツの取り込み、翌日には潮の香りとともにTシャツを畳んでいきます。

●その他関係者との交流会や、最終日には慰労会にも参加します。

応募要項

応募資格 砂浜美術館に興味があり、期間を通して黒潮町に滞在可能な方。原則として高校生以上。性別は問いません。全日程に参加できる方を優先します。
応募方法 所定の参加申込書と誓約書に必要事項を記入の上、下記へ郵送してください。
応募先 NPO 砂浜美術館 ボランティア係
〒789-1911 高知県幡多郡黒潮町浮鞭3573-5
募集人数 10名程度
応募締切 2024年3月4日(月)当日消印有効
お問合わせ先 Tel 0880-43-4915 Fax 0880-43-1527 Mail nitari@sunabi.com

※応募締め切り後、事務局にて調整し応募者各位にご連絡いたします。応募多数の場合は、ご希望に添えない場合もありますのでご了承ください。

※現地までの交通費・宿泊費は自己負担です。宿泊は「であいの里蜷川」(Tボラ特別価格/朝・夕食事含む)。交流会・慰労会・お弁当・Tシャツ・ジーンズは事務局で準備いたします。

※NPO 砂浜美術館で「ボランティア保険」に加入しますが、活動中の万一の事故などに対してこの保険以外での対応はできません。

エントリーシートはコチラから!